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LIVE REPORT

栄喜

栄喜道

2017.08.19 sat at 東京 TSUTAYA O-WEST
open 17:15/start 18:00
Band Member / Guitar : DAISUKE / Guitar : 土屋浩一 / Bass : NATCHIN / Drums : 笹渕啓史

誠実であり続ける“栄喜道”が実現させた
SIAM SHADE楽曲満載のお祭りライブ!!

関東では記録的な長雨が続く中、久々の晴れ間ものぞかせた8月19日。だが、そこは定評ある雨男・栄喜。開場直前にド派手な雷雲を引き寄せる。轟く雷鳴に滝のような雨、その凄まじさに公演への影響を不安視しつつ会場内に逃げ込むと、溢れんばかりにギュウ詰めとなった人、人、人。街のパニックも何のその、期待を孕んだ圧が既に充満していた。前売りチケットは瞬殺で完売、2階席までパンパンとなった人の壁はジリジリッと熱のこもった期待と緊張を漂わせ、その時を待つ。
この日はミュージシャン栄喜の音楽人生を辿る、その名も“栄喜道”と題された1日。オフィシャルブログでは、メニューの半数をSIAM SHADE時代の曲が占めるともアナウンスされていた。栄喜が作詞作曲を手掛けた楽曲縛りではあるが、SIAM SHADEの楽曲も見所となるライブ構成を自ら封印していただけに、曲への期待はもちろん、彼のパフォーマンスへの関心が高まるのは当然だ。豪雨の影響も受け開場時刻から遅れること10分、そんなファンの心情をさらに煽るかのように、スペーシーなデジタル音の洪水とストロボ照明の明滅がオーディエンスを覚醒させる。

女性ファンの絶叫と男性ファンの咆哮に彩られ、1発目は『JUMPING JUNKIE』だ。いきなりSIAM SHADEの楽曲がアグレッシヴに祭りの開催を告げた。リズミックにまくし立てる同曲のヴォーカリゼイションは決して合唱向きではないが、ガッツリ歌うオーディエンスの声が響き渡る。続く『LOVESICK~You Don’t Know~』では伸びやかな歌メロもコーラスパートもあって盛大に合唱、一気にお祭りムードに染め上げられた。横にいた男性ファンからは「ヤバいよ…」「ヤバいな」という、興奮を抑え込んでるかのような呟きが漏れ聞こえる。そんな姿にも素直な感嘆が見て取れる、ファンにとって貴重な一夜、その勢いは加速していく。
3曲目となり栄喜の声もグッとツヤを増してきた『CAN’T FORGET YOU』、サポートベースとして参加するNATCHINも激情を疾駆させて煽りまくる『Imagination』、多少グダグダなオーディエンスとの掛け合いに笑みをこぼす一幕もあったが(笑)、それでも屈強なヘヴィグルーヴがうなりを上げた『アドレナリン』。時に鋭い切れ味をもって、時に色気をまとった切なさをもって、その貫禄のパフォーマンスで魅せる栄喜。彼の視線は2階席のオーディエンスまで常に場内隅々のファンをしっかり見据え、熱と思いをくまなく届けるようなパフォーマンスである。『せつなさよりも遠くへ』では、その人間性が滲み出るような真摯に歌う姿が観る者を惹きつけていく。

怒涛のごとく繰り出されるSIAM SHADEの、しかもファン垂涎の爆ノリナンバーの連発。気づけばライブ中盤の8曲目『Fine weather day』までブッ続けだ。その楽曲の幅広さと共に、時代を経ても愛され続ける魅力を再認識させてくれた。しかしながら、もちろん楽曲パワーに頼ってるわけではない。千変万化する表情をきっちり歌いこなす表現力を保ちながら、MCもそこそこに、休む間もなくたたみかけてくる栄喜の姿が求心力だ。
「みんな歌ってる? よーし行くぞぉ! 来いよ!」
持ち前の兄貴肌でテンションをグングン引っ張りながら、ライブは後半へ。SIAM SHADE攻めの前半とは異なり、後半戦は栄喜ソロを中心としながら時代を織り交ぜて、彼のパフォーマーとしての魅力がより明確に伝わる構成だった。『No fate』『Understand』といった、エモーショナルかつドラマティックなメロディを、栄喜は全身で振り絞るように躍動し歌い上げる。それに応じて、バンドもまたさらなる熱を帯びた一枚岩へと化すように、ブ厚い音像で迫ってくる。
その熱をもってして楽曲はSIAM SHADEの『PASSION』へと突入。鋭いシャウトを交えつつも繊細な表情も見せる歌声、ヴォーカリスト栄喜独自の色気が曲の魅力をさらに磨き上げる。続く『DIGITAL MASTER』ではのたうつヘヴィグルーヴに妖しくリズミックに言葉を踊らせ、かと思えば一点、ポップなSIAM SHADEナンバー『グレイシャルLOVE』ではカラフルな色彩を会場内に描いてみせる。ファンにとっては涙腺決壊の楽曲だろう。しかしノスタルジックだけに浸らせてくれないこの日のメニュー、続く初期のソロ曲『JUMP』でフロアは否応なしに爆ぜる。

「いやぁ必死です(笑)。ブッチー(笹渕啓史)大丈夫? なんかボロボロだけど(笑)。NATCHINは大丈夫でしょ?」と、メンバーを気遣う一幕も見せた、ようやくMCタイミングらしいインターバル。Dr.笹渕啓史とGt.DAISUKEをイジり倒しつつ、ライブはいよいよ本編ラストへと向かう。
それまでのエネルギーがギュッと凝縮したバンド感から、解放的なメロディと広がりのあるバンドアンサブルが際立つ『Start』『あのゴール成し遂げる所まで』『声に…』という3曲。プレイも一気に伸びやかに、オーディエンスの大合唱、光の筋が美しい照明の演出も相まって、壮大なスケール感がラストを瑞々しく飾った。
本編で十二分に“栄喜道”を堪能させてくれたステージであったが、アンコールに応えての1曲目ではさらなる感動をプレゼント。SIAM SHADE『Dear…』では、シンプルでありながら切なく強い美メロに涙するファンも多々見受けられた。
再びの戦闘モードでラストを熱狂に叩き込んだ『Change』を終え、ステージを後にするメンバー。だが、エンディングBGMとして流れたバラード『マーマーレード』で巻き起こるオーディエンスの大合唱がダブルアンコールへと繋げる。

「去年、ああいう形でSIAM SHADEに区切りがついたところで……でもSIAM SHADEがやらなくなるとイイ曲がもったいないんで(※20th Anniversary year 2015-2016[FINAL ROAD LAST SANCTUARY]ツアーをもってSIAM SHADEは完結したとされている)。まぁ遠慮なくガンガン歌っていこうと思います。そんな中、最後に一曲……SIAM SHADEの曲じゃないのが残念です(苦笑)」
イイ話にも笑いを交えつつだが、それでも貫禄の一体感を生み出したオーラスは『太陽に手を伸ばして』。ダイナミックなリズムにバリテクも見せつつの土屋浩一とDAISUKEのツインギター、栄喜は晴れやかな表情でステージを縦横無尽に躍動する。2時間弱を突っ走り続け、全22曲、半数の11曲をSIAM SHADEの楽曲が飾ったお祭りは大喝采をもって幕を閉じた。

オフィシャルブログでは頻繁にメッセージを伝え、グッズ製作や通販の発送も自ら携わり、その活動スタンスにもファンに対する“愛”が如実に表われる栄喜。そんな彼だからこそ踏み切った、今回のスペシャル構成であったことは言うまでもない。歌やライブに向かう姿勢だけに止まらず、ファンに対しても誠実であり続ける“栄喜道”はこの先も続いていく。この日のライブで発表されたが、次回の栄喜ソロライブは、10月21日(土)・22日(日)、下北沢GARDENにて2デイズ開催とのこと。ライブ中にファンの顔を見ていて突発的に思いついたという“握手会”のアナウンスがあったが、他にもどんな嬉しいプレゼントとドラマが待っているのか、まだまだ続く“栄喜道”には楽しみが尽きないようだ。

[TEXT by GO NEMOTO]
[PHOTO by SOSHI SETANI]


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