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LIVE REPORT

Buckcherry

Buckcherry Japan Tour 2014

2014.12.8 mon at TSUTAYA O-EAST
open 18:30/start 19:30

先入観もカテゴリーもブッ壊せ!
スタイル問わず虜にさせる
ギラッギラのロックンロールSHOW!!

 せっかちな寒波の到来に震え上がった12月8日の東京。しかしここ渋谷O-EASTでは、そんな冬将軍も舌を巻く熱波が襲来、恍惚の炎を撒き散らし燃え上がった。昨年春以来となるBuckcherryの来日ツアー初日、東京・渋谷TSUTAYA O-EAST公演である。
 比較的コンスタントな来日公演にも関わらず、そして平日にも関わらずO-EAST周辺は開場前から猛烈な人だかり。入り口に到達すると、目に入った物販ブースにはスカルモチーフと”FUCK”の文字がふんだんあしらわれた罰当たりなデザインTシャツの数々。さぞかし場内にも凶悪な無法者どもが…と思いきや、ごく一般的なファッションに身を包んだロックファンも多く、仕事帰りに駆けつけたスーツ姿のファンもチラホラ。そんな様子からも、彼らのサウンドがスタイルを限定させず、あらゆる世代や客層からも支持を受けているのが見て取れる。

 まずは、今回の来日ツアー東名阪の3箇所でオープニングアクトを務める、Jake stone garageが開演定刻にステージに立つ。札幌在住で都内でのライブは非常にストリートレベルの小箱が多いようだ。SXSWへの参加など、地元を飛び出し精力的な活動を始めた彼らだが、洋楽ファンにとってその知名度は正直ないに等しいだろう。しかし、なんの飾りもない剥き出しのエモーションはみるみる観客の目と耳、そして心を捕らえていく。編成はトリオ、照明も至ってシンプル、勝負ドコロは、研ぎ澄まされた音と感情を増幅させるグルーヴのみ。その一糸まとわぬサウンドの吐き出し方は、Buckcherryとは対極といっても良い彼らだが、Gt&Voの持つテレキャスターのソリッドなカッティングのごとく、観る者の心の壁を切り裂き、その存在をキッチリ刻み付けた。間違いなく近い将来、再びより大きな存在となってその名を目にするだろう。

 さて、いよいよBuckcherryの登場である。セッティングが終わった瞬間から、フロアのそこかしこから「ブァックチェリィィィ!!!」という野獣たちの雄叫び。群衆に埋もれていたバッドボーイな連中もたまらず頭角を表し始め、狂宴の支度も整った中、高らかにオープニングSEが響き渡る。さぁロックンロール・ファッキン・サーカスの幕開けだ。
 初日の緊張感を感じさせない笑顔も見せつつ、立ち位置へと駆け寄るメンバー陣。一足遅れて登場したジョシュ・トッド(Vo)はセンターで華麗なステップを刻む。そしてキース・ネルソン(Gt)のチェーンソーのようなギターのひと吠えから繰り出されたのは、デビュー直後の彼らをいきなりスターダムに押し上げた1stアルバム[Buckcherry]からの無敵のパーティーチューン『Lit up』だ。その瞬間、群衆はドッカン! 助走なしで巻き起こる合唱に鳥肌が立ち、真っ赤なステージ照明で浮かび上がった拳の海は、あたかも狂信的な宗教儀式を見ているかのようだ。その拳の先には、圧倒的な貫禄を身にまとったBuckcherryが。ジョシュは有無を言わさず煽り倒す。”コッ! ケイン!”のコールアンドレスポンスもライブ終盤のような一体感、まだ開始3分っすよ?
 転がしモニターを撤去し、アンプを極力後ろに下げ、広くスペースを確保したステージ上を軽快に、そして縦横無尽に動き回り、軽快なステップを踏むジョシュ。ハスキーでありながらハリがあり、冒頭から振り絞るようなシャウトを連発、そのヴォーカリゼイションで観客を魅了する。キースはゼマティスからレスポール、2機目のゼマティス、3機目のゼマティス…と頻繁に曲に応じてサウンドキャラを換え、上手ギターのスティーヴィ・Dと共にバンドのサウンド面でのアンサンブルを巧みにコントロールする。それぞれのギターは音色は抜群である。程よく乾いて輪郭は鋭く、程よくウォームで耳障りが良く、バカデカいバスドラから放出されるザビエル・ムリエル(Ds)猛烈な音圧にも、アギラーのヘッド&キャビから怒濤のごとく押し寄せるケリー・レミュー(Ba)のLOW感にも飲み込まれることはない。それぞれが一流のプレイヤーであることをド頭2曲で痛感させる。

 そして3曲目『All night long』。曲頭の合唱パートでいきなりヤラレ、ライターとしての使命感を凌駕する音楽の楽しさに襲われる。彼らの血に沁み渡るロックンロールの礎を明確に反映したこの一曲。歌心溢れるポップなメロディラインと、強制参加型コーラスパートの連発だ。上手に立つスティーヴィとケリーは、ビートルズ・フォーメーション的な、1本のスタンドから枝分かれした2本のマイクで肩を寄せ合いコーラス。”結局ロックンロールが好きなんだろ?”と問いかけられてるかのようなステージングに、会場中がシンガロングで応える。やっぱコレだぜ! 突き抜けた楽しさに会場がパッと明るくなったような錯覚を覚える。
 かと思えば、最新アルバム[愚か者]からの『Somebody Fucked With Me』では、ザックザクのハードエッジなギターとタイトなビートでシビレれさせ、ジョシュは”FUCK”を遠慮なく連呼。かと思えば、キースのモジュレーション使いの美しさと、ジョシュの枯れた歌声のセクシーさを堪能できるミディアムナンバー『Everything』がハートウォームな風を呼び込み、極めつけは3rdアルバム[15]からの大ヒットナンバー『Sorry』。悲しみの中に清々しい一筋の光が射し込むような、”再起”を感じさせる美しい楽曲だ。ふと横を見れば、涙腺が緩んだキラキラの眼をステージにクギづけにしたお姉さんもフルコーラス。会場全体に優しい歌が満ち溢れる。

 ド頭の急激な熱狂スイッチから始まり、そのメニュー配置で楽曲の破壊力を倍増させ、観客は隅から隅まで”もはや好きにして!”といった感じ。百戦錬磨のライブバンドであることも改めて痛感させつつ、ライブは早くも後半戦に突入だ。『Sorry』で満ち満ちたシットリムードから、ケツを蹴り上げるかのように強く響くリズムセクション、キースとスティーヴィのユニゾンプレイがビーとを加速させ、操り人形のごとく踊らせられるダンスナンバー『Next 2 You』。横のお姉さんもグイングインに踊るぜ。
 ジョシュは、それまで着ていたヒョウ柄のモーターサイクルジャケットを脱ぎ捨て、タトゥー全開の上半身を露に、ギラついたエロスをふんだんに振りまく。続く、『I don’t give a fuck』でさらに毒気を盛り込んだかと思えば、溜め込んだドロリとしたモンを一気に放出させる『Gluttony』。前作[Confessions]のオープニングを飾る爆走ロックンロールだ。凄まじい合唱、一気に上昇する熱量、ただただ激アガりするしかない。そのまま熱狂の渦で締めくくるかと思えば、またここで初期のミディアムナンバー『For the Movies』、そりゃ当然みんな歌います。優れたメロディが冴え渡る楽曲群、そのアンサンブルやアプローチも多彩で引き出しも豊富、ライブ再現における技量に問題があるわきゃない。そこに加わるツボを突いたライブ運びの妙、今回のジャパンツアーはファンにとって大当たりだろう。完璧なブチ上げショーケースである。そしてそのショーケースの行方は…。
「楽しんでるか? 今夜はスペシャルゲストがいるぜ。SKID ROWは好きか?」
 ここで突然、ジョシュからのインフォメーション。登場したのはなんとSKID ROWのギタリスト、スコッティ・ヒルだ。思わぬ大物の登場に会場は大喝采!! そして必殺のライブナンバー『Crazy Bitch』。キースのファンキーなカッティングと、ケリーのモータウン的アプローチ、それをザビエルのパワードラムがロックのイナタさに引き戻す、Buckcherry流のディスコミュージックだ。リズム隊のみのパートあり、3人となったギタリストは半ばセッション的にソロを回し合い(ギターキッズ垂涎!)、ジョシュは巧みなステップで華を添える。突き詰めるところ、観る者を徹底的に楽しませる姿勢がBuckcherryの最たる魅力であり、それを象徴する一曲だ。観客は歌い、ハンドクラップし、腰を揺らす。観るのではなく参加してBuckcherryのライブを共に作り上げる。

 本編終了後、フロアからは間髪入れず、「バックチェリィ!! バックチェリィ!!」のアンコール要請。しかし、もっとコールさせてよ!と逆に思うくらい、大ソッコーで再登場(笑)。それだけメンバーもノリノリなんだなと勝手に判断したが、あながち間違いではないはず。ジョシュは、最新PVでもお馴染みのキャップ姿で登場し、Icona Pop『I Love It』のカヴァーでもある『Say Fuck It』。そのアンテナと実行力にも驚かされるが、ライブでは完全にBuckcherryのモノにしてしまっている。爆ノリに次ぐ爆ノリのパーティーチューンだ。ちなみに最新作[愚か者]の収録曲は、この日は3曲のみ。原題は[FUCK]だし、ママが目を覆うような単語連発の作品なわけだが、正直もうちょっと観たかったなぁという印象。個人的にはモッシュナンバー『FIST FUCK』あたりとか。
 息つく暇なく駆け続けたかのようのな2014年の来日公演もいよいよオーラスだ。アルバム[BLACK BUTTERFLY]からのヒットナンバー『TOO DRUNK』。大陸的なデカいグルーヴを生み出す不動のリズム隊、その上でジャムってるような、味のあるラフさを本人たちが楽しんでるような気配も見せるツインギター、ジョシュはここでもハッとするようなセクシーさを見せ、ロックンロールの醍醐味の一側面を発揮する。

 メンバーがステージ去った後もしばらく鳴り止まないコール。それだけ今年のBuckcherry熱は猛威を奮ったということだろう。僕も含め徹底的にヤラレた感がすごかった。というか、ロックンロールが好きで良かったと、Buckcherryに気付かされた。その楽曲やパフォーマンスの土台に根付いたものはロックンロールであり、スタイル問わず虜にさせるポピュラリティがギラッギラに光を放つ。タトゥー全開で極悪なヴィジュアル、サウンドのカテゴリーは主にハードロック/ヘヴィメタルで括られる彼らだが、パンクロックの熱烈なリスナーだったというジョシュ・トッドのパンク・アティテュードからだろうか、先入観やカテゴリーをブッ壊し、あらゆる要素を貪欲に吸収してBuckcherryサウンドを再構築する。その目的は、全てこのライブのため、ステージとフロア一体となって作り上げる恍惚の瞬間のためにあるのだろう。最強かつ最狂にファッキンなSHOWだった。

[TEXT by SATORU OSHIMA]
[PHOTOS by YUJI HONDA]



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