

細谷佳正
僕を祝ってくれまい会2023
2023.2.12 sun at iTSCOM STUDIO & HALL 二子玉川ライズ

2デイズに拡大した2年目
ファンやゲストと祝った41回目のバースデー!
都心に雪がチラついた極寒の数日前とは一転、青空が覗く晴天となった週末。バレンタインデーが間近の二子玉川には、ショッピングに勤しむ人々や、陽気につられて外に出てきた親子連れなどで賑わっている。会場となった二子玉川ライズのiTSCOM STUDIO & HALL周辺には、思い思いに楽しむ人々が溢れ返り、中央広場に設けられたスケートガーデンでは、子どもたちが黄色い声を上げて駆けずり回っている。そんな周囲の喧騒とは裏腹とも思える集団が、続々と会場へと。この日のドレスコードの「一輪の花」をもった人々が、次々と吸い込まれていく。大半が大人の女性で落ち着いた雰囲気だ。なにやらセミナーやシンポジウムに臨むような緊張感が漂っている。
この日のイベントは、細谷佳正の41歳のお誕生日会。[僕を祝ってくれまい会2023]と題された、同会場での前年に続く催しだ。1日2回公演だった前年から、今年は2日間にわたる全4公演へと拡大。建国記念日の土曜日と、翌日の日曜日に開催された。発売とほぼ同時にチケットが完売したという回もあり、レポートする2日目<昼の部>も客席は最後部までギッシリの状態だ。
イベントのオープニングは、ショートムービーから。幼い頃の写真や想い出の写真などをコラージュした映像が映し出された後、細谷本人がステージに登場。「どうも皆さま、こんにちわ!」という挨拶と共に現れると、大きな拍手が巻き起こる。『進撃の巨人』から『ハイキュー!!』、『文豪ストレイドッグス』、『テニスの王子様』まで様々なアニメや映画の吹き替えを担当し、ナレーションや舞台など幅広く活躍する細谷。とはいえ、生で耳にすると、快活で張りのある声に改めて驚かされる。「1日目は緊張があるから上手くいくけれど、怖いのは2日目。舞台では魔物が住んでいるって言われるんですよ」などと言って会場を笑わせる。年末のタクシー運転手との出会いなど心温まるエピソードを交えつつ、「頑張ろう」と決心したという今年の抱負などを語ってくれる。気づけば開演前の緊張感はすっかり解けて、会場内には和気藹々とした空気が流れていた。
前年好評だった質問コーナーも再び実施。事前に来場者に書き込んでもらった質問を、質問箱からくじ引きのようにランダムに選んで、お答えしましょうという企画だ。ところが、質問の内容を見てから、「これはパス!」「採用しません!」とスルーを連発して全員が爆笑。その一方で、採用された質問にはきちんと丁寧に答えてくれる。「面接にはどんな心掛けで臨めば?」との質問には「テンションが大事」との回答。故郷である広島の「尾道で開業するとしたら?」との問いには「ペットのホテル」と即答。また就活アドバイスを求められると「やりたいことをやったほうがいい」と答えたり、「苦しい時をどう乗り越えるか?」という質問には、2022年から浪川大輔さんとMCを担当するABEMA『アニメLIVEチャンネル』(木曜日)を例に出して、自身の人生観や教訓と照らし合わせながら語ってくれた。
その後、スペシャルゲストである杉田智和さんが登場。花束をもって現れると、花柄のアンダーウェアのプレゼントと一緒に贈ってもらい、なんと2人でゲーム実況をする展開に。声優仲間である杉田氏とは、意外な顔合わせのようで実は仲良しだとか。定期的にご飯や飲みに出掛ける2人が、テンポの良いやりとりで楽しませてくれた。
挑戦したのは、サバイバルホラー系のゲームで、ステージ後方に2人のゲームの画面が大映しにされて、オーディエンスも同時に鑑賞。かなりゲームで遊び慣れているふうの杉田氏が、キワどいところで次々と敵を倒していくので、観ているこちらはヒヤヒヤしたり、思わずギャー!っと声を上げたり。そんなゲームの傍で、2人はまるで自宅で寛いでいるかのように対話も並行。ゲームの話はもちろん、ホラー映画やTVドラマ『ストレンジャー・シングス』、韓国映画『#生きている』から『イカゲーム』に『新感染 ファイナル・エクスプレス』まで、2人の話はあっちこっちに飛びまくりで、素朴な素顔を垣間見れたと思わせる瞬間だった。ゲーム中には突然ゲームがシャットダウンして、やり直しになったり、杉田氏のステージ登場のタイミングがズレてしまったり、プチトラブルも続出。その度に細谷が「ほら、これが魔物!」と叫んで会場は爆笑の渦と化していた。
イベントのラストは、会場の来客者全員との記念撮影と、「頑張ろう」と決心した今後の抱負について再び触れつつ、ファンへの感謝の言葉で締められた。本人がステージを去ってからも、手書きのメッセージのVTRや、レミオロメンの『3月9日』を歌ったミュージックビデオが映されて、ステージや楽屋、オフのスナップ写真などで構成された映像を観ていると、名残惜しいような、ちょっぴり儚い気分にも。会場を出る際には、細谷本人がひととひとりにカレンダーのプレゼントを手渡してくれるスペシャルなお見送り付きで、この日の体験をいっそうスペシャルなものに。
この回には、スペシャルゲストに杉田智和さんを迎えてゲーム実況が繰り広げられたが、異なる回には異なるゲストが迎えられて、異なる企画が実施された。11日(土)<昼の部>は、木村良平さんとトーク、<夜の部>は、小野賢章さんと怪談の朗読、12日(日)<夜の部>は、武内駿輔さんとジェンガ。と、それぞれユニークな趣向で楽しませてくれた。
[TEXT by 村上ひさし]
[PHOTOS by 12日 / 正慶真弓、11日 / 江藤はんな(SHERPA+)]
