【其の弐】

【其の参】

冠 徹弥 ”大冠祭2014を語る”インタビュー

【其の壱】

冠徹夜が語る『大冠祭2014~メタル縛り~』インタビューもいよいよ大詰め。過去二回では、この祭典を企画した意図や動機、各出演者たちとの“馴れ初め”などについて話してくれた彼だが、今回は人間椅子、OUTRAGEという彼自身にとっての先輩にあたる二組の出演者について語ってもらおう。誰にも負けない実力と鋼鉄魂を持ちつつも、強力な先輩に対してはとことん低姿勢な彼にとって、果たしてこの二組はどのような存在なのか?

 

――ストレートに訊きます。人間椅子は冠さんにとってどんな存在なんでしょうか?

冠:僕にとってはやはり、尊敬している先輩というか。そんなに爆発的にヒットしたこともなければ、広く一般的に知られているわけでもない。なのに、ずっと続けてこられてるじゃないですか。しかもいまだに新しいことにも挑戦してらっしゃる。そう考えると……やっぱりもう、尊敬しかないですよね。もちろん人間椅子の音楽にも、キャッチーな部分もあるにはあるんですよ。だけど、決して親しみやすい音楽というわけではない。それなのに、なんと25周年ですからね! 実は昨年、『ARABAKI ROCK FES』で一緒だったんです。そこでライヴを観させていただいたんですけど、めちゃくちゃカッコ良くて。同じく昨年、『OZZFEST JAPAN』でも観たんですけど、あのデカい舞台ですごく映えていて……。アンダーグラウンドなイメージもあるのに、デカいところでも映える。それってすごくカッコいいことじゃないですか。

 

――確かに。メンバーの皆さんとは親交もあるんですか?

冠:いや、実はお話ししたことも全然ないんです。だけど是非この機会に出ていただきたいなと思ってお願いしましたら、ご快諾いただけまして。すごく嬉しいです。そして、この場を借りて「25周年おめでとうございます!」と言わせていただきたいですね。

 

――人間椅子に加えて、OUTRAGEの出演も決まりましたよね?

冠:ええ。OUTRAGEは僕自身、学生の頃から大好きやったんです。大阪で観たPANTERAの来日公演でのオープニング・アクトが、OUTRAGEやったんですよ。しかも会場が御堂会館だったというのがまたマニアックでいいでしょ?(笑)そこで初めて観て、まさに衝撃やったんです。「日本にこんなカッコいいバンドがいるんや!」って。

 

――確かに当時から“規格外バンド”みたいに言われていましたよね、彼らは。

冠:ええ。実はSO WHAT?時代に何度か対バンさせていただいたことがあって。3人編成だった時代にも一緒にやったことがあるんです。ただ、ひとつだけ当時のことで心残りがありまして……。あるライヴのとき、(OUTRAGEのヴォーカルの)橋本(直樹)さんに、「大好きです!」って言ったら、アンコールで「THE FINAL DAY」(OUTRAGEの代表曲のひとつ)を一緒に歌おうって言われたんですね。でも僕、歌詞が頭に入ってなくて、サビの繰り返しのところしかわからないって橋本さんに言って、お断りしてしまったんです。若さゆえのアホさというか、馬鹿正直というか(笑)。で、橋本さんにも「じゃあええわ」と言われて(笑)。はそのとき以来、橋本さんとは一言も喋れてないんです。あのときのことだけは、改めてちゃんと謝りたいですね。

 

――その前に、「THE FINAL DAY」の歌詞をおぼえたほうがいいのでは?

冠:そうですね! もし今回のステージでチャンスがあったなら、あのときのリヴェンジをしたいな、と。僕、あの歌にメタルってもののカッコ良さを思い知らされたようなところがありますんで。ああいう“海外と闘えるバンド”が日本に居るってこと自体に衝撃を喰らったんです。バンドをやるうえでもかなり影響されてましたし。

 

――実際、こうして全出演者について考えてみると、すべてがメタルと形容可能でありつつも、実にさまざまですよね。9月23日の公演当日、ステージ上からどんな光景が見られることを冠さんは期待していますか?

冠:どうなるんですかね? 正直、アタマからケツまで、ずーっと観てたら疲れてくる人もいるだろうと思うんですよ。でも、どのバンドも絶対楽しませてくれるはずだし、最後の最後まで熱狂した末に、笑って家に帰れるような……そんなふうであって欲しいですね。「しんどいなあ」を超えて、「いや、最高やったな!」と笑えて、「また明日からも頑張ろう!」って気分になれるような、そんなライヴになるんちゃうかなとすごく思ってます。で、願わくば「メタル最高!」「メタルの時代、来たんちゃう?」という感覚を持って帰ってもらえるようにしたい。もちろん海外にもすごいバンドはたくさんいるし、洋楽中心のフェスもすごい。でも、こういう場に出てくる日本のバンドもすごいんだぞ、というのをとことん味わって欲しいですね。

 

――今回の祭典は、冠さんにとっての集大成的なものにも見えますけど、むしろ新たな出発点でもあるわけですよね?

冠:もちろんそうです。ここからですね、ホンマに始まるのは。まだまだ他にもメタルという縛りのなかにはバンドもたくさんいますし、一緒にやりたいやつらもいっぱいいますし。しかも、まだまだメタル自体がでデカくなっていくはずだから。まずここからスタートして、一発盛り上げて、次へ次へと繋げていきながら……それこそ会場も大きくしていきたいし、ヘビー・メタルって言葉がもっともっと世の中に飛び交うような状況になったらいいなと思ってます。

 

――そういえば先日のライヴ中には「新譜をさっさと作ってしまいたい」というような発言もありましたけど、それに向けての準備も着々と進みつつあるんですか?

冠:曲は作っておりますね。まだ発売時期とか具体的なことは決まってないんですけど、とにかく曲はたくさんできてきております。もちろん激しいのが(笑)。

 

――ということは、当日は新曲も聴けるかも?

冠:ええ。『帰ってきたヘビーメタル』のリリースから、もうだいぶ時間も経っているんで。ここでTHE 冠としての動きを止めてる場合じゃないですし。世の中の何が止まっても、自分は動いていこうと思ってるんで、そこは期待していてください。

 

――では、今から期待を膨らませておきます。同時に今回のフェスは、THE冠の提唱によるものということになれば、いわゆるライヴ以外の部分でもいろいろ期待したくなってきます。そこはもちろん、期待していていいんですよね?

冠:そりゃそうですよ! バンドのメンツだけでも充分過ぎるぐらい強力ですけど、僕がやるからには、それだけでは終わらせませんから(笑)。ライヴとライヴの合間に何をするか……。もっと言えば、CLUB CITTA内のステージ以外のところで何が行なわれることになるのか。ライヴを観て、休憩して、またライヴを観て……という単純な繰り返しのようなものにするつもりは絶対にないんで。そこはもう、僕を信じて楽しみにしていてください!

 

 

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□企画:冠鋼徹倶楽部 □制作:H.I.P.