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LIVE REPORT

D’ERLANGER

TOUR 2012 “BEAST in ME”

2012.07.08 sun at 赤坂BLITZ
Open 17:00 / Start 18:00

D’ERLANGER TOUR 2012 “BEAST in ME”
ツアーファイナル@赤坂BLITZ!
声を出す事から始めよう。 全てをさらけ出す事が出来るからついておいで。
旗を掲げる準備は整った。

ツアーファイナルとなる当日、本番前にも関わらずVoのkyoにインタビューを試みた。快くインタビューを受け入れてくれた事に感謝しつつ、本題へと入る。

―今回のツアー“BEAST in ME”大阪と名古屋終わってみていかがでしたか?

kyo:ぶっちゃけ、中、一週間あいて昨日がBUCK-TICKとのライブだったので正直ツアーの感じを忘れています。ただ、陰と陽だったり場面の切り替えが今回のツアーは早いというか激しいと思います。何となく流れで暗闇から明るいところに抜けるというよりは、その瞬間瞬間にパッパッパッパッと変わっていく様なツアーなのかなと思いますね。

―今日が最終日という事ですが、今の率直な気持ちを聞きたいです。

kyo:そうですね。徐々にテンションが上がっていくところ…まだ上がりきる手前にはいると思うんですけど、衣装に着替えて、わりとこういうバンドの割には楽屋に居る時は皆フランクなんですね。それぞれが集中力を高めて、袖に行ってSEが流れて円陣組んでステージに出ていくんですけど、そこでスイッチが入る感じですかね。

―それまでは割とリラックスしている感じですか?

kyo:うん。ああしよう、こうしようと思うよりは、ごく自然体で居る感じですね。

―BUCK-TICKさんとのトリビュートアルバム“PARADEⅡ–RESPECTIVE TRACKS OF BUCK-TICK”で“ICONOCLASM”を選んだ理由は何ですか?

kyo:単純にひらめきです!チョイスしたのはTetsuなんですけど、TABOOというアルバムの1曲目で僕達がデビューする前で衝撃と影響を受けたアルバムだったりするので、初めて聴いた時の衝撃とかも凄くあって、自然にスっと入っていける曲ですね。思い入れがある曲とかを選ばなきゃいけないとなると1曲に選べないですしね(笑)

― 昨日、Zepp DiverCityで行われた“BUCK-TICK TOUR PARADE 2012”いかがでしたか?

kyo:良い意味で力みました。僕らもあまり使いたくない言葉ですけど、ベテランの域なので先輩と一緒という場面が少ないんですね。でもBUCK-TICKは先輩だし、今でも現役バリバリだし、やっぱり凄くオーラのあるバンドですから本当に良い意味で胸を借りるつもりで向かって行けるというのはなかなか無い機会なので、そこは凄く心地良かったですね。久しぶりにステージ裏に居て、緊張感があるというのはなかなか無いのでそこから楽しむ様にしました。これが10代20代だったら、そこでビビって負けたでしょうね。そこは経験を積んでからの同じステージというのが良かったというか今まで無かったのが不思議な位ですけど、ある意味そういう運命だったのかなって。

―BUCK-TICKさんとのエピソードとかはありますか?

kyo:お酒のエピソードが多いですね(笑)それこそ初めてお話をさせてもらったのも飲み屋でしたし、ライブを見に行ったりとか、バンドとしての在り方だったりとか、やっている事以外にも憧れだったりしますから。そういうバンドが今も輝いてくれているというのは良い事ですよね。僕達にとっても良い事だし、こうなりたいとは思います。

―今後の目標、活動内容などを教えてください。

Kyo:秋にツアーがあります。先ず自分達を表現する場所としてD’ERLANGERにとってライブがありきだと思うんですよね。その中で色んな発見をして、それが曲になったりとか有機的な動きをしていきたい。家にこもって何かを築き上げてから外に発散するというよりは受動的奔放的な部分から何かを生むっていうものがD’ERLANGERなのかな?って思いますけどね。でも夢みたいな事は沢山ありますよ?単純に2~3年前からアジアの台湾や韓国でライブをやり始めましたけど、もちろんヨーロッパにも行きたいしアメリカにも行きたい。そんな夢もあります。諦めるものが無いんですよね。だから夢の方が沢山あります。体が動く限りはね(笑)

―新曲についてそれぞれ曲紹介をいただいてもいいですか?

kyo:そうですね“Beast in Me”は割と発散的というかキャッチしやすいんじゃないかな?ツアータイトルにも引っかけているんですけど、激しい曲で凄くサビが届く。(D’ERLANGER)らしさ全開ですよね。“My lips to overlip your lips”“Crimson Crow”に関しては比較的イマジネーションを与える曲だと思います。この2曲は、それぞれの宇宙の中で描いてくれればいいかなと思いますけど。テンションは高いんですけどそのチャンネルはちがうところにいる曲かなと思います。

―1曲目に持ってきたというのは、今回のツアータイトルがあるからですか?

Kyo:いや、そういう訳では無いんですけど、そういうのが好きなんですよね、バンドとして。そういう遊び。意外性だったりとか。何となくの流れって段々出来ていっちゃうんだけど、そうすると1回壊したくなっちゃうんですよね。今回は陰と陽だったり瞬間瞬間にパッパッパッと変わっていくのをメインで作ろうかってのはありましたね。そういう流れでいくと新曲が1曲目でいいんじゃないかって。

―今回のツアータイトルにしたのもそこからですか?

Kyo:いや、感覚です。感覚で“Beast in me”にしようか!ってなって、ツアーが決まって、日程が決まってから新曲を作り始めたので。

―そこからなんですね!

kyo:で、ツアータイトルになるなってなったところで作曲者のCIPHERも仮でそういう風に載ってるってなってるから、じゃあそうしようってなって…そのひらめきだったり受け取った感じを信じて歌詞を書くって感じにしました。

―お時間ギリギリになってしまったので最後にファンの皆さんに一言いただけますか?

Kyo:そうですね。弾けましょう!難しい事考えないで本当に普段出さない声とか出してもらって弾けるのが1番だと思います!若い時はお客さんを乗らせられないのはバンドの責任みたいな事をカッコよく言いましたけど、やっぱり本音を言えばお客さんが盛り上がればバンドも盛り上がる、バンドが盛り上がればお客さんも盛り上がる…それがライブだと思うんですよね。とにかく弾けましょう!

―本番前にも関わらず、ありがとうございました!

こうしてライブ前ギリギリのインタビューが終わりステージに立つkyoの姿は、とてもリラックスしている様に見えた。

ステージは上から5つの青いライトが真っ直ぐに下ろされ、時折見せるフラッシュが幻想的な雰囲気を醸し出す。
SEが流れる中、メンバーの名前を呼ぶファン達に呼び寄せられるかの様にステージに登場したメンバー。
Tetsuのドラムスティックが高く上がり、ツアータイトルにもなった”Beast in Me”からのスタート!

新曲からのスタートとなったが、オーディエンスの反響も良く、さすがD’ERLANGER!と頷かせるものがあった。
一般的には、大事なトップバッターに誰もが知る名曲を持ってきて、会場を盛り上げるという流れがある様に思えるのだが、それをブチ破り、ここまで盛り上げる事が出来るのはD’ERLANGERの積み重ねてきた何かだと思わざるを得ない。
ギターソロから始まった”柘榴”の妖艶さに思わず息を呑む。
激しく叫ぶファンの声援を受けkyoが放つ第一声「TOKYO-!」が会場に響き渡り、それに応えるファンの歓声が鳴り止まず「ようこそー! D’ERLANGERです。ご存知の様ですねD’ERLANGERです。」
これこそ淫靡な誘惑とでも言おうか…ゾクゾクさせられる声で「ツアーファイナルです。弾けようか。飛ばしていこうか。」と、ゆっくりとした落ち着いた口調の中に魅せる大人の色香がプンプン!
LAZY SLEAZYのサビを会場が歌いマイクを向けるkyoの姿にモッシュしながらサビを皆で歌い、ギターソロからの新曲“My lips to overlip your lips”へと繋げる。

「気持ちのいい夜だね。3本だけの短いツアーでしたけど、ファイナルです。間に1週間入り、昨日はBUCK-TICKとの戯れもあったのでツアーファイナル感はございません。でもその分、気持ちのいい緊張感で一緒に楽しめたらと思います。いい?」吐息すらも艶めかしいMCに応える会場のファンに「キミ達も少しは成長した様ですね。バンドを喜ばせる事を少しは覚えた様だ」と、ドS発言からの“TABOO”への入り方といい、歌詞といい、動きの全てがまさに濃艶。
CIPHERのギターのボディ位置でkyoが屈む姿となり、この絡みは言葉に出来ない!
しかし、ここは言葉にしなければならない。
あえて言葉にするのなら…純粋な欲求とでも言うのだろうか。素直に求めるというのは、こういう事なのだろうと少し照れながら見ていた。
もうダイレクトに言っていいのならエロいのなんのって腰砕けそうになるってこういう事なんだ!と実感。

ステージ中央に設置された真っ赤なソファーに腰を下ろした姿もまた様になっていて、独特の雰囲気で見ているこちらが圧倒されてしまう。
新曲“Crimson Crow”ではマイクスタンドを投げ出し“SADISTIC EMOTION”「適当でもいいよ。歌える?」とサビを熱唱するファンを見て笑みがこぼれる。
Tetsuのドラムセットが新しくなり、バスドラムが鏡になっているので「油断すると(映って)見えるからね」と会場からは笑いが起きた。
今回のツアーとBUCK-TICKとのLIVE、7月15日台湾最大のロックフェス“HO-HAI-YAN GONGLIAO ROCK FESTIVAL”
のメインステージと続き「この夏、D’ERLANGERワクワクしてます。そして少し涼しくなった頃、全国ツアーが始まります。僕たちもそれだけを楽しみに毎日を過ごそうかなと思っております」と、9月30日から始まる全国ツアー“an ALGEARR TOUR 2012”への意気込みを全身で受け、「もっともっと気持ちいい事しようか」
静かにカウントを刻み“BABY I WANT YOU”のSEELAが放つベースの入り方のセンスにただただ圧巻。

Tetsuによるドラムソロが始まりそのダイナミックかつパワフルなプレイに食い入る様に引き寄せられる。

「良かったね皆、随分気持ち良くしてもらったんじゃない?じゃ、次はキミ達がTetsuを気持ちよくさせる番ですよ?」と叫ぶ会場の勢い笑顔で応えるTetsuの姿が。

“Singe et Insecte”でのkyoが放つ投げキッス、全てを赤く染めた”Love me to DEATH”に続き“Masquerade”では、マイクを投げ、前に出て来たCIPHERがステージに膝立ちになり凛とした横顔でファンにアピール。
あっという間の本編であった。

鳴り止まないアンコールに応え「ありがとう!気持ちのいい声、届いています。もうちょい腰振る?いける?もうちょいイってみる?いくぜー!いくぜー!いくぜー!」と、コール&レスポンスの煽りからいきなりのハイハット!
“LULLABY”の「Come on!!」で向けられたマイクに大熱唱の会場が1つとなり「秋に会おう!秋に会おう!ありがとう!」と、昨日対バンしたBUCK-TICKのトリビュートから“ICONOCLASM”のギターのリフが聴こえ会場のボルテージは最高潮に。
kyoがシャウトしながらステージ最前に座り込みファンとの距離を近付け、ステージを去る。

再度アンコールがかかる会場にTetsuがドラムヘッドを持ち再度ステージへ。
最後までファンサービスも欠かさず。
鳴り止まない声援と拍手は止まる事を知らなかった。

リズム隊とされるドラムがメロディーラインにグイグイと入り、そのドラムをベースが支えるといった場面があったかと思えば、ギターのメロディラインを引き立たせながらのヴォーカルの支え合いがある事に気付いた。
演奏中もメンバーの目と目が合い、呼吸が合い、お互いがお互いを高め合い尊重し合う。

虜になる、という言葉はD’ERLANGERに使う事の出来る唯一の言葉だ。

[TEXT by オオタニヒトミ]
[PHOTO by Yuji Honda]



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