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LIVE REPORT

AIR JAM 2018

Hi-STANDARD / The Birthday / マキシマム ザ ホルモン / 10-FEET / KOHH / BRAHMAN / HEY-SMITH / SiM / SLANG / 04 Limited Sazabys

2018.09.09 Sun ZOZOマリンスタジアム
open 10:00 / start 12:00

90’sストリートカルチャーの象徴にして色褪せない衝動
ドでかい花火の下、千葉マリンを最大級の感動が包み込む

 90年代後半のストリート・ムーブメントの象徴のひとつであり、まだ日本では“フェス”という呼び方すらなかった時代に生まれたAIR JAM。1997年にお台場、1998年に豊洲、そして2000年に千葉マリンスタジアム(現・ZOZOマリンスタジアム)と理想の場所を求めながら開催された。主催Hi-STANDARDの活動休止に伴ってしばし中断されるものの、Hi-STANDARDが活動再開した後、2011年に横浜スタジアム、2012年には念願の東北・みちのく公園、2016年には初の九州・福岡ドームと日本全土を横断しながら、あの空気そのままに世代をつなぐような形で開催されてきた。
 今年4月に[AIR JAM 2018]が発表されたときは多くのファンが歓喜したが、それは単に開催のみならず、会場が[AIR JAM 2000]が行われたZOZOマリンスタジアムであったことも大きいだろう。Hi-STANDARD活動休止前のラストライヴかつ90年代後半から巻き起こったムーブメントのピークでもあり、多くの人の脳裏に焼き付き、今なお胸を離れない印象的な日。だからこそ、”AIR JAMがマリンに帰ってきた!”と歓喜したのだ。

 開催当日は突き抜けるような晴天にも恵まれ、早い時間から会場のみならず、駅周辺にもAIR JAMやHi-STANDARDのTシャツを身にまとったファンが集結。多種多様なフードの出店はもちろん、ストリートとリンクするAIR JAMだけあってアパレル・ブースもしっかりと揃うだけでなく、復興支援を募るNPOブースもあり、そこには多くのオーディエンスがその気持ちを託す為、詰めかけていた。
 また、2011年以降のAIR JAMの特徴のひとつとして、家族連れが多いことが挙げられる。今回もキッズ・エリアは設けられていたのだが、その充実ぶりが素晴らしかった。ワークショップでは子供たちがヘア・アレンジやフェイス・ペイントが楽しみ、キャラクターとの写真撮影やショウも楽しめ、少し奥へ進めば靴を脱いでくつろげるスペースも広い。フード・メニューも多く揃っている為、さながらピクニックのような雰囲気。強い日差しを避けて、適度の休憩を挟みながらAIR JAMを楽しめるのは嬉しい配慮だ。
 そして、いざ開演のときがきた。その狼煙として、大型スクリーンにはオーケストラをBGMとした映像が流れ、出演バンドが順に紹介されていったのだが、そのたびに湧き上がる歓声はまるでライヴ中のような凄まじさ。

 そんな熱量が渦巻く中、まず登場したのはBRAHMAN。『SEE OFF』で強い海風を切り裂くような音を響かせ、TOSHI-LOWの「今を生きるために。1回表トップバッター、BRAHMAN始めます」という宣言からの畳み掛けも凄まじい。中盤にはKO(SLANG)や細美武士とのコラボレーションもあり、初っ端からド迫力のステージで圧倒していった。
 続くSiMはSEから大盛り上がりのオーディエンスに対して「まだまだいけるだろ?」と悪魔のようなエグり方で狂乱のムードを描き続ける。MAHがベース・ヴォーカルとなって『Dear My Friend』のカバーを披露したり、「いまだに夢を見させてくれてありがとうございます!」と絶叫する等、Hi-STANDARDへ愛と感謝を胸に抱えながらのパフォーマンスだった。
 その背中が頼もしすぎたのが、北海道・札幌が誇るハードコアバンドSLANGだった。9月6日に北海道胆振東部地震が起こり出演が危ぶまれたこともあり、地元には(AIR JAMに)行きたくても行けない人がいることを背負ってのライヴ。その煮えたぎる想いがビシビシと伝わってくる。中盤からKOはステージを降り、客席の側で叫び続け、気取ることも身構えることもなく、いつもの熱量でスタジアムを包み込む。
 また、異色の出演者として注目を集めていたのがラッパーであるKOHHだろう。屈強なバンドが揃う中、たったひとりで35000人に立ち向かい、その鋭いリリックを突き刺していく。後のHi-STANDARDライヴ中、難波がKOHHを誘ったことに関して「彼がロックだから。パンクだから。ハードコアだから」と語っていたが、まさにその通りのステージ。初見でヤラれた人も多かったのではないだろうか。
「ありがたいことにAIR JAM(出演)3回目。今年はいろいろあったけど、そういうのも全部ひっくるめてやれるのか、AIR JAM!」とナヲが大声で叫び、上昇しっぱなし気温をさらにグッと上げたのがマキシマム ザ ホルモン。いつもの笑いを誘うMCもありつつ、ひとたび曲へ入れば圧倒的な貫禄。精度の高い音、魅せるプレイ、数え切れないほど大舞台を踏んできたモンスターバンドの暴れっぷりは“さすが”のひと言。
 ちょうど折り返し地点になるこの時間帯では、スタジアム中央に設置されたランプではスケーターとBMXライダーによるパフォーマンスが展開され、一息つこうと場外へ出れば、マジシャンやフリースタイル・フットボーラーによるショウ、お祭り気分を加速させるフェイス・ペイントを施してくれるパフォーマーもおり、また新たに気持ちを盛り上げてくれた。
 結成当初はHi-STANDARDの楽曲をホーン・アレンジして練習していたというエピソードからもわかるように、まさに夢舞台に立ったHEY-SMITHは初っ端から怒涛の勢いで突き進んでいく。エネルギッシュにすべてへ噛み付き、「本気でやってねんから本気で来いよ! お前ら、それでもパンクスか! もっと上までいこうぜ!」と猪狩がアジテートして放ったのは『Let It Punk』もインパクト大。称賛すべき暴れっぷりだ。

 スタジアム中から無数のタオルが掲げられ、よりムードが高まった中で登場したのが10-FEET。TAKUMAはおどけながら自らにプレッシャーをかける発言もしていたが、それぐらい期するモノがあったのだろう。序盤から3タテで攻勢を強め、夕暮れ間近な空をバックに『太陽4号』で歌心を響かせる。「気持ちの伝え方、下手になるなよ。余裕の見せ合いみたいなケンカ、好きじゃないねん」とTAKUMAが語ってからの『その向こうへ』は気持ちいいぐらいの真っ向勝負。激しく大きな愛で包み込み、それぞれの中にある10-FEETを更新する充実の内容だった。
 すっかり日が落ちたころ、The Birtdayが放つソリッドでありながら膨らみと艶のあるロックンロールは至高の味わい。「まさかオレたちがAIR JAMに呼ばれるとは思わなかった。ハイスタ、ありがとう!」というチバユウスケの言葉はあったが、いやいやこの出演には歓喜したファンも多いはず。その特別感に加え、さすがというべき百戦錬磨のロックスター、しっかりとスタジアムを彼らの色で染め上げていった。「今夜はお前らとAIR JAMだ!」とチバが叫んでからプレイした『涙がこぼれそう』はシビれた人も多かったに違いない。
 トリ前という大きなプレッシャーをガソリンとし、おっさんばかりに先頭は走らせないとばかりに血気盛んに音をかき鳴らしたのが04 Limited Sazabys。「AIR JAM 2000のVHSは、比喩じゃなく、擦り切れるほど観ました。90年代を生きてきた人が羨ましくて。AIR JAM 2000に行った人も僕からしたらレジェンドです」とGENが想いを吐露する場面もあったほど、このステージに懸ける気持ちが伝わってくる。アクセルを踏めるだけ踏んでHi-STANDARDへ捧げた『My HERO』、オーバーヒート上等で突っ込んだ『Squall』は痛快極まりなかった。
 そして、みんなが待ちに待ったHi-STANDARD。スタンド席のオーディエンスもすべて立ち上がり、メンバー3人が登場しただけで、スタジアム全体から雷鳴のような歓声が響き渡る。ステージ袖へ目をやれば、小さいライヴハウスならソールドしてしまうぐらい、バンドマンが鈴なり状態。そんな興奮状態へ『Dear My Friend』を投下し、18年ぶりのフルアルバムとなった[THE GIFT]の表題曲『The Gift』や『SUMMER OF LOVE』と続け、スタジアム中からスマホライトが照らされ、星空の絨毯が広がった『Starry Night』も心に残るシーンのひとつ。
 その後も時間を惜しむように名曲を連投。ロマンティックで愛に溢れた『My First Kiss』、難波が「パンクロックは自由だよ」と口にしてからのキレッキレの『My Heart Feels So Free』では巨大なモッシュピットを巻き起こし、これからのテーマだと宣言してからの『All Generations』を心の底から楽しそうにプレイするメンバーの姿は、ファンの心をどこまでも弾ませていく。
 終盤になり、難波が「またこの場所でやれてよかった。仲間たち、先輩たち、ホントにありがとう。たいへんな思いをして足を運んでくれた人、ホントにありがとう」と謝辞を述べ、「アメリカのフェスみたく、おじさんバンドと若いバンドが一緒になってる、あれが理想なんです」と、今回の出演者の意味を語る。更新されたAIR JAM世代の表れがまさにこの日だったのだろう。

 力強く高らかに『Another Starting Line』を鳴らし、横山の弾き語り『Lovin’ You』から、本編ラストは『Brand New Sunset』。曲が終わり、横山がギターをじっくりと響かせてから、すべての気持ちを預かるかのように音を止め、ステージを後にした。
 もちろん、まだまだ終われないオーディエンスに呼び戻され、『Stay Gold』から『Free』へとつなぎ、締めくくりは『Mosh Under The Rainbow』。スタジアム全体の照明がつき、花火が何発も打ち上がる。アリーナにはとてつもなく大きなサークルができ、袖にいたバンドマンもたまらずにステージへ。誰しもが笑顔で声を上げ、心と体を揺らしていく。35000人の喜びがひとつになり、溢れ出した時間だった。
 ライヴが終わり、難波はオーディエンスへ向かって「ありがとー!」と絶叫したが、それは単なる感謝というよりも、一緒に作り上げてくれたことも含めた言葉だったはず。出来上がった枠組みではなく、最初の一歩から積み重ねてきたのがAIR JAMなのだ。この先、どのような絶景を描き出していくのか。また次回も必ずや体験したいと心に刻んだ1日だった。

[TEXT by ヤコウリュウジ]
[PHOTOS by 岸田哲平, TAKASHI KONUMA, 半田安政(Showcase), Kohei Suzuki, 本田裕二, Tsukasa Miyoshi(BRAHMAN), 浜野カズシ(マキシマム ザ ホルモン)]


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