H.I.P HAYASI INTERNATIONAL PROMOTION

LIVE REPORT

AIR JAM 2016

Hi-STANDARD / ONE OK ROCK / MAN WITH A MISSION / 10-FEET / TOKYO SKA PARADISE ORCHESTRA / BRAHMAN / Crossfaith / WANIMA / HEY-SMITH / The BONEZ / HAWAIIAN6

2016.12.23 fri 福岡ヤフオク!ドーム
open 10:00 / start 12:00

初の九州、初のドーム開催のAIR JAM 2016
ハイスタと、その精神が詰まった“遊び場”は
3万6千の大喝采を巻き起こす日本最強フェスに!!

まだ日本にフェスと呼ばれるものが存在しなかった1997年。当時のインディーズ、ストリートでのパンクロックシーンを牽引していたHi-STANDARDが、自身や仲間、ファン達の“最高の遊び場”として作り出したのが第一回のAIR JAM’97だった。ハイスタを中心としたシーンの急成長とともに規模を拡大していった1998年と2000年、ハイスタの活動休止により中断されるも再始動を果たした2011年、2012年。過去5回に渡るAIR JAMは、ストリート発信の遊び場という前提はキープしたまま、誰にも、大手資本ですらも真似できない、数々の伝説的なシーンを生み出していく。
そして2016年12月23日、4年ぶりとなるAIR JAM 2016が開催された。初の九州開催、初のドーム開催のAIR JAM 2016、さらにスタンディング席を設けたドームでの音楽フェス自体、このAIR JAM 2016が初!なのだ。様々な挑戦をてんこ盛りにした今回、もはや伝説として刻まれる何かではなく、ここから先に進む人々の心に炎を灯すような、未来へ向かうためのフェスという無二の存在感を強烈に印象づける一日だった。

当日、福岡はあいにくの曇天、雨かと思えば時に陽が射す不安定な空模様。急な雨にパーカのフードを目深に被った人並みが延々ドームへと続く。お天道さんも意地が悪い、と思っていると、一時の晴れ間と同時に、ドーム後ろに広がる海に巨大な虹が! うおお! まさしく“MOSH UNDER THE RAINBOW”!!。17年前の名盤[MAKING THE ROAD]でハイスタが描いた世界が今ここに実現されようとしている。

場外のフードエリアでは、これからの長期戦に備えてエネルギー摂取の人々がわんさか。その隣には、東北の復興支援団体、そして2016年4月に九州・熊本を襲った熊本地震の支援団体のブースが多数並ぶ。ボランティア活動の報告を見つめたり、支援グッズを買い求める若い姿が印象的だった。他にも、ストリートブランドをはじめとした20を超えるスポンサー陣のブース、出演アーティストのサポートでも活躍するESPビッグボスの楽器ブース、Red Bull PHOTO BOOTHでのハイスタの写真展示などなど、ライブ以外の楽しみどころも満載である。
ここで気付く。明らかに他のフェスと違う。幼い子供の手をとり入場するファミリーが非常に多いのだ。場外には十分なベビーカー置き場が設けられ、入場後すぐに目にするのはキッズエリアの看板。授乳室や託児所をはじめ、射的や子供用ヘアメイクルーム、音と光に合わせて遊べる“DIGITAL SPACE TOWN”なるアトラクションも。飲食可能なファミリー用の休憩所や、さらにパパ・ママ向けのマッサージブースも完備……なんという配慮!
ライブエリアに進めばファミリーシートのその規模に、大幅な座席数が用意されていたことにも気付かされる。AIR JAM主催陣の着眼点、形として反映された意思、それだけで胸が熱くなってくる。
また、AIR JAMといえば、開催当初からお馴染みの光景がひとつある。今回もステージ向正面には客席エリアに高くそびえるランプが。スケーターやBMXライダー達は、熊本や東北をはじめ日本各地から集結。デモンストレーションコーナーもライブの合間に組み込めれていたが、生ライブをBGMに、じゃんじゃん飛び交っちゃう光景がまたAIR JAMらしい。

様々な意思が息づいた形の数々、AIR JAMならでは満載な見所に導入が長くなってしまったが、主役バンド達の饗宴、これが本当に素晴らしかった。ベクトルの違いはあれ、AIR JAMに出るということで増量されたバンドの、メンバー各個人の気持ちの強さが目に見えて伝わるステージの連発、オーディエンスと共に作り上げた感動を呼ぶシーンの連発だった。

ライブは隣り合わせの2ステージで交互に展開され、一発目はAIR STAGE。「AIR JAMが九州で開催されたよぉー!」という雄叫びにも近い宣誓とともに、九州代表、そして被災地・熊本出身のWANIMAがスタート。持ち前の“元気”が堰を切ったかのように溢れるステージだ。
続くJAM STAGEではThe BONEZ。眼光鋭い JESSE(Vo)が“Revolution!”の咆哮一発。肌がヒリつくような緊張感、そこに衝動の洪水がフルレンジで流れ込み、奔流は熱狂へと巻き上がる渦となる。
ピンストライプの白いスーツに身を包んだ、イキで不良な軍団は百戦錬磨のダンスチューンを連発する東京スカパラダイスオーケストラ。スタンド席の最上段までユッサユサに揺れ動く圧巻のダンスフロアを出現させた。
ドームの流線型も相まって、宇宙基地のごとくのSci-Fi空間を作り出したのはCrossfaith。持ち時間40分を、自身もろとも灰になるまで焼き尽くすような気迫と覚悟のステージが唸りを上げる。

今回のAIR JAM 2016では、幅広い世代の出演バンドも話題となった。メタルコアを軸に世界規模で発信するCrossfaith、後に登場するONE OK ROCKも、いわゆる“AIR JAM世代”という言葉とは直結しないバンドである。それらを飛び越え、ハイスタが“バンド”として認めるバンドをチョイスした、その点もAIR JAMを未来へと繋ぐ重要なアクションだったように思う。
逆に“AIR JAM世代”ドンズバのバンドもいる中、特にハイスタの遺伝子が色濃く染み付いたバンドがHAWAIIAN6。荒々しくも執拗に胸を打つ1音1音と歌、もう感情の迸りが並じゃない。
「横山さんと知り合って29年、バンドを始めてAIR JAMまで19年。曲がりくねった遠回りな道を歩いて、ちゃんと俺たちここまで辿り着きました。バンドやってて良かったです!」
メンバーのAIR JAMへの想いが露わとなり、オーディエンスの涙腺とモッシュはそこかしこで暴発する。
「中学校のころにHi-STANDARDに頭をおかしくされた俺たちが、今度はお前達の頭をおかしくしに来たぞ!」というHEY-SMITHは、激しいながらも珠玉のポップナンバーを繰り出し、やんちゃな炸裂感をスタジアム全体へと伝播。
MC一切無しで、肌が粟立つような衝撃のステージを見せつけたのはBRAHMAN。激情とバンドが完全に一重になった塊でブン殴り続け、鬼神のごときカリスマTOSHI-LOW(Vo)が客席に突っ込んだかと思えば、そのままラストまで、フロアのオーディエンスに支えられ完全燃焼を遂げる。

MAN WITH A MISSIONの踊れて歌えるビートは老若男女を巻き込み、スタンド360度がダンスの壁となった壮観な景色を作り上げた。なにせ彼らは狼である。色鮮やかなイヤーマフ(防音ヘッドホン)をつけた子供達が嬉々として踊る姿も印象的だった。
この日ステージに立つ様々なバンドマンの心に衝撃スイッチを取り付けたモンスターバンドがHi-STANDARDならば、新世代のモンスターバンドONE OK ROCKも貫禄のステージで魅せまくる。無数のスマホライトと艶やかな歌でドームを染め上げた『Clock Strikes』での美しさ。熱狂スイッチが入れば、盛り上がりのさらなる上を貪欲に求める姿に会場が震える。
「ヨッシャやろか、エライこっちゃー!!!」と、歓喜と興奮のド頂点でステージに登場した10-FEETは、キッズ返りしたかのようなエナジーだだ漏れライブ。しかしWANIMAからここまで7時間半、沸点オーバーの有様で迎えるオーディエンスも凄まじい。ラスト『その向こうへ』では、クラウドサーフから戻るお客さんで、前柵からスタンディングエリアの入り口までの結構な距離が数珠繋ぎとなる、初めて見る景色(笑)。

そしてトリはもちろんHi-STANDARDだ。猛烈なオーラを纏いながらも飄々とした笑顔の3人が登場すると、地鳴りのように歓声が響き、スタンド席からもブ厚いシャワーのように喝采が降り注ぐ。様々なバンドTeeが踊り跳ね、そんな背中の先にあるステージからは、カラフルでほろ苦い青春のビートがキラびやかに放たれてくる。16年ぶりの新曲『ANOTHER STARTING LINE』はもちろん、アルバム[MAKING THE ROAD]からのチョイスをはじめとした不朽の人気曲を全17曲。アンコールではカヴァー『Happy Xmas(War Is Over)』で雪を降らせて、ハイスタらしいロマンティックな世界も描いてみせ、オーラスではオーディエンスのクッソでかいサークルと共に、『MOSH UNDER THE RAIBOW』を実現させてくれた。当時からその楽曲には普遍的な輝きが封じ込められ、多くのオーディエンス、多くのミュージシャンの心に大事な宝物として存在していたハイスタ。その宝物は、当時の鮮烈さを失っていない3人のプレイ、何ら変わらない笑顔とバンドの空気感、それらが鍵となって、この福岡の地で再び開放された。周囲を見渡した時の笑顔の数々、終演後も鳴り止まない歓声と拍手、初めてハイスタを観たであろう人にも、疲れて眠ってしまった子供の顔にすら、ハートウォームな幸せ感を感じてしまう。改めてハイスタの凄さ、AIR JAMの素晴らしさを満喫した1日だった。

「みんなハンパなかったです。(お客さん)みんなもハンパなかったよ! いろいろ我慢してくれて、どうもありがとう!!」
ハイスタ難波章浩(Ba)は、何度も“我慢してくれてありがとう”という言葉を言った。ハイスタ自身が自由を重んじるパンクスだからこその言葉だとも思うが、この日で動員3万6000人、これだけの規模のフェスには当然規制が必要だ。が、冒頭に書いた通り、その配慮は本当に行き届いたものだったし、同時にハイスタを発信源に、あらゆる人にその思いは浸透していた。ボランティアで参加した会場のスタッフは、車椅子のお客さんをこまめに、そして丁寧に誘導し、スタンディングエリアの規制をしていたスタッフは、熱くなったお客さんに軽い文句を言われながらも真摯に対応、“お疲れ様!”と労いの声をかけるお客さんもいっぱいいた。終演後、ゴミ袋を手に整然と退場するお客さんの列は見ていて美しかった。制作面でも、ドームという、広大でバンド&PA泣かせな音響環境において、どの位置のオーディエンスにもなるべく良いサウンドを届けつつ、同時にファミリー席に対しては子供を気遣って音圧を軽減するという、全方位に楽しめるよう考慮を重ねて音響システムを組んでいたそうだ。それでもハイスタは上を目指すのだ。これから先も、彼らが描くAIR JAMの理想形を、その挑戦をワクワクしながら見続けていきたい。

[TEXT by Go Nemoto]
[PHOTOS by YUJI HONDA, 瀧本JON…行秀, 半田“H.and.A”安政, 青木 カズロー, Teppei Kishida]


PAGE TOP