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LIVE REPORT

若旦那

やるなら今Tour2012

2012.03.20 tue at 原宿ASTROHALL
Open 17:30 / Start 18:00

“やるなら今Tour2012″として3月8日福岡、3月13日大阪、そしてツアーファイナルとなった原宿アストロホール。
手の届きそうなステージにはアコースティックギターと若旦那。
初の試みとなるアコースティックバージョンでのライヴが今、始まった。

原宿駅で電車を降りて道路が見えなくなる位に人でごった返した竹下口をまっすぐ進み、信号を渡った突き当りを右に曲がると、”ASTROHALL”と書かれた看板を目印に階段を下りる。縦長のフロアの先のステージに目を向けると”やるなら今”と白地に黒で書かれたバックドロップがライトアップされていて、それを目印にフロアはどんどん埋め尽くされていく。

「こんなにも近くで若旦那が見れるって嬉しい」という声が会場の至る所で聞こえ、開演前から”旦那コール”が会場を包みステージにアコースティックギターを手にしたサポートミュージシャンのみが登場。ステージに若旦那の姿が無いまま、『I love you』と歌声が響き”好き過ぎた好きでした、涙と笑顔で繋いだふたりの…いや、俺達の福岡、大阪、原宿へと繋がったTASUKIが大好き”とのステージ陰からアカペラで歌う声のみが響き、アコースティックギターの演奏が始まった。
若旦那の登場に会場からは拍手からの手拍子が始まり、アコースティックギターの音色に乗せ若旦那が歌い、会場の手拍子がリズムとなりタイトル通り”TASUKI”が繋がっていく。
“守るべきもの”のイントロに乗せ「はじめっぞオラー!」と、かけていたサングラスを外し、会場を見渡し「用意出来てますかー!もっとデカい声出せるだろうがよ!今日は皆、ひとつになるぞOK?」会場からは割れんばかりの声が若旦那に向けられ、タオルを振り回しながら皆で大合唱が始まり「今日はゆっくり行くよ!ひとりひとりの…」とMCが入ると、キャー!と黄色い声が響く。「いちいちキャーって言ってくるんじゃねーよ!」と会場に笑いが生まれ、「ゆっくり…ゆっくりさ、気持ちと気持ちを重ねていくんだよ俺たちは。頭じゃねぇ、心でゆっくりゆっくり俺たちは重ねる。2時間後にはひとりひとりがしっかり重なっているように。前の方ばかり盛り上がっていると後ろの方が『俺、ノリ切れないかも』…って、そうならない様に後ろも全員ひとりひとり重ねていくぞ。」と会場の後ろの方からも声が上がり「俺たちはちっちゃな力を一つにするんだよ。今日、扉を出る頃には何かひとつ掴むんだよ」と”何かひとつ”の大合唱が起こり、「ヤバいね今日。今日俺がダメな時は力を貸してくれよ。」と会場のファンの人差し指が高く高く伸びた。

「自分に眠っていたもの。そして仲間から感じるものを…すみません噛みました。」と言葉を噛んだ事を謝る姿に会場からは笑いが響き「いいよね別にね。関係ねぇよ噛んだって人生には失敗が付きものだからな。皆から感じるアツさ、今日感じた感動、アツいもの、バイブレーション、言葉に出来ないもの、それが何かひとつでも温め続けろ毎日。この感覚を。だけどさ、何かひとつ掴む為には、先ず自分を信じろ。自分を傷付けるな。我慢するな。自分の事を信じてやれ。自分を守ってやれ。絶対大丈夫だから」とのMCから “信じろ”が始まり、大合唱がおこるのだが、ここまできて気付いた。会場に居る全員が全員ずっと歌っているのだ。
時に口ずさみ、時に大きな声で歌い、ここまで曲も歌詞も完璧にマスターしているファンのまっすぐな姿勢を見ていると、若旦那の伝えたい事がきちんと伝わっているからこその姿なのだと見ていて思った。
言葉を大事にするという彼の根本的な部分をファンは忘れていない。若旦那のストレートな歌詞に込められたメッセージに共感出来るからこその大合唱なのだと感じる。

「自分をさ、信じるとこから始めよう。自分の事を優しく出来て、労われて、自分の事を好きになって大好きなヤツの為に生きていけたら最高だと思う。だから人の事を考える前に自分を守れ。自分を守るのは自分しか居ねぇ。お前のその幸せが俺にとって一番大切な事。だから自分の事を幸せに出来るのはお前しか居ない。何かひとつを掴む為に自分を信じろ。…でも何かひとつってヤツは何なんだよ?何かひとつってヤツはテレビとかインターネットとか学校とか、そんなものにはねぇ。自分の遠い遠いココにある。この中にある。」そう胸に手を当て、優しい口調で語りかけ「だから自分の気持ちをパカーっと開けて閉じんなよ?パカーっと開けろよ?パカ―っと開けながらこの曲を聞いてくれ。」と”Toy box”が始まる。「今日はちょっとゆっくりやるよ」との言葉にもある様に初の試みとなるツアーに対しての気持ちが伝わってくる。

アコースティックギターに乗せ、フリースタイルが始まり、若旦那の生い立ちが赤裸々に歌われた。サラリーマンの家に手のかからない子として生まれ、自分が親になってから気付いた事や、3人目の子供が出来た事を曲に乗せ、小学生の頃、好きな子の家の近くを自転車でグルグル回っていたり、初めて煙草を吸った話や、ある意味伝統のある中学校に入った事、高校の入学式の先輩の話、初めて勝てない相手に出会ってアスファルトが冷たく感じた話、自分を試してみたくなり司法試験の勉強をしたり油絵を描いた話、今までの若旦那の過去がフリースタイルとして出し惜しみなく伝えられ”札束”のイントロにつながると大合唱が始まり、笑いと涙が絶える事は無かった。

「今日は少しずつ気持ちを重ねていこうぜ。ちっちゃいちっちゃい俺たちの力だけど、ひとつにすれば絶対何かがあるはず。人生何があってもへこたれるなよ。フラれたとか好きな人に向いてもらえないとか、彼氏の浮気とか結婚出来そうにないんだよねって関係ねぇよ。自分が思い描いている未来、自分がどんな風に幸せになりたいのか、すっとまっすぐに誠実に思ってれば絶対お前らの思い通りになる。」
“月の光が俺たちを照らして”では『Wow oh oh ~』との大合唱に対し「いっぱい泣け、お前らの心の闇いっぱい落としていけ。俺が吸い尽くしてやる!」と会場に向かいスーっと息を吸い込む場面があり、笑いを誘う。笑顔が絶えないファンとの交流がそこにあった。

「長く付き合うとか関係ねぇよ。一瞬でも胸がときめいた気持ち、ドキドキした気持ち超大切にしろよカッコつけて言うとI love you」と”KAKUGO”のイントロに乗せ『I love you』がひとりひとりのハートに響き、言葉にする事の大切さがどんどんと湧き出してくるかの様だ。

「やるなら今、伝えるなら今、後悔したくねぇから絶対に今、持っている気持ちは全て吐き出せ。今しかねぇ、行動するなら今だ。見合ってると状況は変わってきてる。言えるものも言えなくなったり、相手との状況が変わってきたり、そのうち大切な事を言えないで一生会えなくなったりするから。俺はもうそんな想いをするのはやめた。だから皆にもそんな想いをして欲しくない。だから伝えるなら伝えたいなら伝えたい事があるなら今吐き出せ」とタイトル通り”伝えたい事がこんなあるのに”どうして我慢してしまうのだろう。その我慢を若旦那は言葉にして歌詞にして根本的な大事にしなければいけない部分をストレートに教えてくれている。じゃ、またねなんて言葉が最後の言葉になった事を思い出し、後悔している自分さえ居た。

「ギターを握っているのはケンちゃんです」と、アコースティックギターを演奏していた橘井健一の紹介がされ、
「ちょっと近付いてみようかな」と椅子に座り、フリースタイルでギターのケンちゃんの近況が報告された。会場から祝福の声と笑い声に包まれながらさだまさしのカバーである”雨宿り”へと繋げ、ほんわかモードとなる。
「雨降りそうだなって思っても準備なんかしないで飛び出て雨降ってきて雨宿りしてみたらハンカチ貸してくれる様な人もいるかも知れないから。でもさそんな用意周到な人生じゃ無くて、ふとした時にトラブった時にそうやって雨宿りしたらそういう思わぬ所で思わぬ人と会うからさビビんなよ?外出る時、何あってもいいよ雨宿りすればいい。俺が今日間違いなく会って思った事、皆の笑顔世界で最高に美しい。その笑顔、その笑顔」とひとりひとりを見渡し、「世界で一番お前らの笑顔が美しいから自信持てよ。一緒に歌うか」と”青空”を皆で歌うのだが、何故か少し照れながら歌ってしまう。その照れも皆で歌うから勇気が湧くというか支えているというか…不思議な気持ちになったが、『独りでは無いんだよ』とこの空間に居た全ての人が思えた事だろう。

「この曲が今日最後の曲。」会場から「嫌だー」という声が聞こえると「だけど、アレがあるから。お決まりのアレがあるから安心してくれ。建て前的にラスト。本編のラストって一番大事な事を言うんだよ」そして再度フリースタイルを挟み『恥ずかしいだろうから皆の両親に俺から代わりにデカい声で叫ぶ。生んでくれてありがとう。皆が生まれた日の事を親に聞いてみてくれ。その日はきっと笑顔に包まれ、涙にあふれて皆の誕生を皆で祝ってた。その日の話を聞いてみてくれ。迷った日には自分だけのストーリーを聞いてみてくれ。』と”いのち~桜の記憶~”に繋げ『Thank you forママThank you forパパ』の心からの大合唱が生まれる。
「俺たちの子供が親父の背中を見て、あんなふうになりたいって言われる様なそんな未来を俺たちは責任持って一緒に話し合って悩んで作っていくんだよ俺たちは。その時にその未来の子供たちがこの歌を歌ってほしいから」と強い強いメッセージを込めステージを去る若旦那。

会場からは「行くぞー!気合いだ!気合いだ!き・き・気合いだ!気合いだ!気合いだ!最終的には気合いだ!」と手拍子と共にアンコール。

再度ステージに立った若旦那も合わせ「気合いだ!気合いだ!き・き・気合いだ!気合いだ!気合いだ!やるなら今!」と続け「ありがとう!アンコール歌います」とキャンディーズをカバーし、今までと違う若旦那に挑戦した事で話題となった”春一番”のカヴァーを五木ひろしのモノマネ付きで披露。
もちろん会場はジャンプの嵐となった。常に新しい事に挑戦し、率先して前を進む若旦那の粋な姿に魅かれていく。
「今日のライヴさ、マイク1本、ギター1本、フルチン状態!やるなら今!やるなら今!supported by CALEE!」とファッションブランドの名前が連呼された(笑)
このブランドは2004年発足。CALIFORNIAの別名でもあるCALYを名前の由来とするCALEEのコンセプトはJAPAN PRIDEというコンセプトを掲げている注目のブランドであるが衣装チェンジをしてきた若旦那のシャツがそのCALEEだという。
「俺の地元の先輩のブランド。本当に昔から一緒に戦ってきた仲間。俺がライヴやるって言ったらコレ作ってくれたんだよね」と、”やるなら今”のバックドロップを掲げ「俺たちは学歴とか無いから、友達しか居ないからいつも刃向って色んな事をしてきた。そんな仲間が社会に順応出来ない…だけど力だけは有り余ってるってヤツが昔、渋谷に集まって悪い事も良い事も色んな事してきた。その中で唯一信じていたのは強さとか友情だけ。でも大人の社会にはそんなもの通用しない。そこで気付いた。昔、強かったヤツが通用しない。誇りとか栄光とかが全く通用しない。そうやって気付いて傷ついて自分に自信を失って散っていった仲間が沢山居ます。ひとりひとりの責任だけどさ一緒に夢を見ていた仲間だし、誰一人欠けちゃいけねぇ。ここに居る全員、全うしろよ自分の命は。自分から諦めんじゃねーぞ!分かった?」そう言った若旦那の声が震えていた。涙を隠そうと再びサングラスをして「自分から命を諦めると周りが苦しい。俺たちもひとりで生きてねぇ。色んなヤツに支えられて俺たちは生きている。だから何があっても自分の命は諦めるなよ。自分の事は諦めるな。自分を信じて自分を守って、もう傷付く事に慣れてしまってはダメだよ。傷付いた傷付いたってSOSを俺らに出せよ。少なくとも俺に出せ。俺はそばに迎えに行くことは出来ないかも知れないけれどお前らに歌を届ける。ずっとずっと24時間聴けるような歌を届ける。俺はもう二度と皆を失いたくない。ひとりひとり居なくていいヤツなんか居ないんだからさ。お前らが居なきゃ俺は困る!皆が居ないと困る!誰ひとり欠けちゃいけない。この扉を開いた先にはまた明日が来るけどまたひとりぼっちになるかも知れないけど俺は絶対に最後まで味方だから。」
アカペラからの最新曲”俺が俺が~世界中が敵になっても~”が始まり、ファンの涙が手に握り締めたタオルに吸い込まれていく。
“愛してる”で先程の涙を乾かせ!とばかりにタオルを振り回す会場。これが一体感というものだ…と感じざるを得ない。
「俺たち心と心、近付いた?重なり合った俺ら?一人も欠けちゃいけねぇ。さっきカッコつけてI love youなんて言ったけど、やっぱ俺たち日本人だからよ日本語で言うよ」と『愛してる愛してるよ』と会場全てを使って大熱唱。
本当にギター1本とマイク1本でここまで出来るのかと…
「今度は皆の町に行くから。3ヶ所じゃなくて皆の来て欲しいところに絶対に全部行くから。」
皆の思い思いの愛してるよが会場に響く。響く。響く。

「今日ここに来れなかったけど想いを届けてくれたヤツ、ホントありがとう!そして皆を支えてくれる兄弟、仲間、俺がめっちゃリスペクト!そして皆を産んでくれた親!両親!本当にありがとう皆と逢わせてくれて。若旦那でした!」
沢山の声援と拍手で若旦那を送る会場の興奮冷めやらぬまま、言葉と言葉、思いと想い、そのアツいTASUKIがまた繋がっていく事だろう。
素直になる事の大切さ、言わなきゃ伝わらない事の大事さというものを若旦那を通し、学んだ気がして翌日、遠くに住む母に電話をして感謝を伝えたが「どうしたの急に?」と言いながらも嬉しそうな声が聞けた。

[text by オオタニヒトミ]
[PHOTO by YUJI HONDA]



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