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LIVE REPORT

マルーン5

MAROON 5 WORLD TOUR 2022

2022.12.4 sun at 東京ドーム
open 16:00/start 18:00

ソールドアウトとなった初のドームツアー
時代を超えて、ジャンルを超えて
進化を遂げたロックショーでノックアウト!

開演時間の18時、オープニング・アクトのDJメールボックス(DJ Mailbox)がまず登場。ジャクソン5からデュア・リパまで新旧ヒットを取り混ぜたセットリストで会場を盛り上げる。明らかに反応が良かったのが、ビヨンセの『クレイジー・イン・ラヴ』など、ちょっと懐かしめのヒット曲。ダフト・パンクの『ワン・モア・タイム』を、そのタイトル通りに“もう1度”掛けてクスッと笑わせたり。ドームのような大会場では、着席までに時間が掛かるので、こういうDJタイムがあるのは有難い。ハリー・スタイルズの『アズ・イット・ワズ』で締め括られる頃には、すっかり会場も温められて、マルーン5の登場を待つばかり。すこぶる快適なバイブスに包まれていた。

19時キッカリに会場が暗転すると、SEが流れる中、メンバーが登場。オープニング曲はクリスティーナ・アギレラとの共演で大ヒットした『ムーヴス・ライク・ジャガー』だ。クリスティーナの姿はもちろん見当たらないが、ステージ後方と左右に設置された巨大なプロジェクターに、セクシーな女性ダンサーの姿が大映しにされる。その迫力に目を奪われつつ、メンバーの姿を確認。後方の一段高い位置に、ギターのジェシー、ベースのサム、ドラムのマット、キーボードのPJの4人がポジショニング。前方右手にギターのジェームス、中央にヴォーカル(と時折ギター)のアダムという立ち位置だ。もちろんアダムは、常に動き回っているので、左右や中央に突き出した花道を含めて、その全てが彼の舞台となっている。一時は7人まで膨らんだメンバーは、現在は6人組。この1曲目の時点で既に感じられたのが、バンドとしての一体感が以前よりも跳ね上がり、ロック度が増していること。エレクトロ系だったこのナンバーは、よりヘヴィなロックバージョンにリメイクされ、2曲目の『ディス・ラヴ』で早くもアダムは着ていた皮ジャンを脱ぐと、白Tシャツ姿になってコール&レスポンスで観客を盛り上げる。クリーンな音色のギターリフが痛快に響き渡るが、ここでもヘヴィな低音が下半身から突き上げ、後半はゴリゴリしたギターソロで圧倒した。

『ステレオ・ハーツ』になると、今度はレイドバックしたリラックスモードへと。映像もカラフルでトロピカルな南国風に変化する。アダムは奇声を上げたり、ここでもコール&レスポンスでグイグイ観客を煽って、全員参加型のライブを作り上げていく。レゲエ調の『ワン・モア・ナイト』、野生動物の映像が映し出される『アニマルズ』など、ダンスホール系のリズムに乗せて、どんどん世界観を深めていく。
『ラヴ・サムバディ』では、スタジアムロック的な高揚感で酔わせ、ひと際ポップな『ホワット・ラヴァーズ・ドゥ』では、陽気なムードで楽しませる。グリーンのレーザー光線が会場内を飛び交った『ウェイト』のような、ムーディーなナンバーも魅力的だった。様々なスタイルの楽曲が繰り出される中で、ギターやドラム、キーボードが次々とソロパートを挟み込み、アダムの歌声も地声からハスキーな高音、ファルセットと表情を変えていく。全ての曲が、スタジオ録音とは異なる、ライブバージョンとして生まれ変わっている。おそらくリハーサルやライブ演奏を重ねた結果なのだろう。本人たちが創意工夫を加えて楽しみながら演奏している様子も伝わってきた。

オープニングから11曲目の『ハーダー・トゥ・ブリーズ』まで、ほぼノンストップで演奏。一曲が終わっても、休むことなくすぐさま次の曲へと移っていく。MCも最小限で、「トーキョー、みんな楽しんでる?」、日本語で「ありがとうございます!」という程度。あとは曲中で掛け声を挟んだり、みんなを煽ったり。あくまでも音楽で勝負し、音楽でエンターテインするのだという姿勢を、ひしひしと感じさせられた。

キュートなアニメをバックにした『ビューティフル・ミステイクス』からは、いよいよ後半戦に突入。『コールド』では、全てを出し切るかのようなアダムの熱唱に、オーディエンスも割れんばかりの拍手を送って熱狂。『サンデイ・モーニング』では、イントロのピアノが鳴り始めた途端に湧き上がるオーディエンスの反応が、これまた素晴らしい。20年近くも前のヒット曲が今なお、こんなふうに愛されているのも感動的だった。そして本編ラストは、カーディ・Bや女性セレブが多数登場するMVが映し出される『ガールズ・ライク・ユー』で締め括られた。全女性に対するリスペクトがたっぷり払われ、彼らがなぜこんなに支持されているかを改めて痛感。

アンコールの『デイライト』では、ひと際パワフルでスケール感のある演奏で、バンドとしての魅力を存分に発揮。縦横無尽に駆け巡るギターソロも素晴らしかった。その後の『メモリーズ』では、一転してアダムの歌とジェームスのアコギのみの親密度の高いセッティングにシフト。急逝した彼らのマネージャーに捧げられていた同曲を、まるで天国の彼に向かって歌っているかのように熱唱。続いた『ロスト・スターズ』も、アコギだけをバックに歌われたが、アダムが出演した映画『はじまりのうた BEGIN AGAIN』では美声だったのが、ここではかなり野太い声で。1時間以上歌いまくった後だけに、豪快な喉で聴かせてくれた。

「みんなも知ってるはず」と紹介された『シー・ウィル・ビー・ラヴド』も、アコギでスタート。途中からフルバンドになって、日本でも特に愛された初期ヒット曲をドラマチックな展開で披露した。会場には20代前半くらいと思われるファンの姿も多数見掛けたが、そういった古いナンバーもちゃんと知っているようで、最新の曲と同じくらい声援を送っている。だが若いファンにとっては、マルーン5といえば、やはり『シュガー』のはずだ。ラストナンバーとなった同曲のイントロが鳴った途端に、会場中がウオー!っとどよめき、感激のうめき声を上げたかのようだった。誰もが大興奮。究極の美メロが琴線に触れたのはもちろん、アダムもギターを弾きまくり、これぞ最後とばかりに駆けずり回って、全てを放出してくれる大満足の大団円だった。
 
ポップ、ロック、ソウル、ファンク、ヒップホップ、エレクトロ、ダンスホールなど、あらゆる音楽ジャンルを取り入れてきた彼ら。だが今回のステージで、根っこにあるのは紛れもなくロックバンドというのを改めて教えてくれた。これだけのジャンルを網羅しながら、全てをロックバンドとして演奏に落とし込んでいく、その力量にも恐れ入ったし、3年前の前回の来日時よりも確実に進化を遂げていた。マルーン5がなぜ20年近くも第一線でヒットを放ち続けているのかも大いに頷けた。それにしても、演奏された全曲が大ヒット曲。ドームの天井席まで立ち尽くしだったのも当然かもしれない。筆者の頭の中ではずっと帰り道に、『シュガー』のメロディが脳内リピート。このメロディの強さがある限り、彼らは第一線で活躍できるはず。早くも次の来日公演が待ち遠しくなってきた。

[TEXT by 村上ひさし]
[PHOTOS by official]


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