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LIVE REPORT

ブルーノ・マーズ

Bruno Mars Japan Tour 2022

2022.10.27 thu at 東京ドーム
open 17:00 / start 19:00

ドーム5公演を完全制覇
エンタメ王=ブルーノ・マーズ最強説を実証した
グラマラス&ラグジュアリーな“非日常体験”

ドーム5公演が史上最速ソールドアウトと報道されるなど、ブルーノ・マーズ最強KING説が決定的となった4年半ぶりの日本公演。開催までわずか1カ月余りという緊急発表にも関わらず、大阪2デイズと東京2デイズが即刻完売。更に急遽追加された東京ドーム公演も即完。遂には見切れ席まで当日販売というフィーバーぶりとなったブルーノ・マーズのドーム・ツアー。東京3デイズの中日となった10月27日(木)の東京ドーム公演を鑑賞した。

コロナ対策や持ち物検査などで「客席までは30分ほどみてください」と会場係員がマイク案内している会場周辺から、平日とは思えない大賑わい。まるでお祭り騒ぎのようにごった返している。浮かれる人々に揉まれながら会場に踏み込むと、これがまた内部の熱気が凄い。既に始まる前からみんな楽しむぞ、という意気込みに沸き上がっている。開演予定時の19時になりステージの両側の2枚の大型モニターにMARSマークが現れると、それだけで大盛り上がり。10分過ぎに、いよいよコンサートが幕を開けると、今度はステージ側からオーディエンスより数倍、いや数十倍もの巨大なエネルギーが押し寄せる。いきなり異次元の世界が出現、その中に放り込まれてしまった格好だ。

オープニングの『ムーンシャイン』から真っ赤なビームが会場中を飛び交い、続く『24K・マジック』で早くも火花や大砲がガンガン打ち上げられる。紙吹雪まで舞い上がり、キラキラと上空から降り注ぐ、通常コンサートなら、これってラストかアンコールでしょという贅を尽くした演出だ。ステージ後方には無数の電飾がギンギラ・マックス状態で輝き、ディスコかラスヴェガスのショーを思わせる。しかもブルーノはじめバックバンドのフーリガンズのメンバー8人は、常に踊りながら楽器をプレイ。管楽器などを吹きながらクルクル回って、ステップ踏んで、腰を振ったり、駆けずり回って、寸分違わずピシッとダンスを決めまくる。後々気付かされることになるのだが、このエンタメ精神と完成度がコンサートの最後の最後まで続くのだから頭が下がる。

ひと息付くと、「昨夜のソールドアウトの観客も凄かったけど、いやいや今夜のお客さんはもっと盛り上がりそうな気がしてるんだよね」とMC。軽くオーディエンスを挑発してからの『フィネス』では、ニュー・ジャック・スゥイング風のダンスを披露し、『トレジャー』では会場中が両手を掲げてワイパー状態に。『パーマ』ではジェイムー・ブラウンを彷彿とさせる、ひと際ファンキーなダンスで圧倒してみせ、『ヴェルサーチ・オン・ザ・フロア』では、優しくスローに歌い始めた途端、オーディエンスが自然とスマホライトを掲げて、会場中がイルミネショーンに包まれる、そんなマジカルな瞬間も。そこからセクシーなラグジュアリーR&Bタイムへと流れ込むのだから、もう身を捩って快楽に溺れるしかないだろう。次から次へと見せ場を作り、オーディエンスを楽しませる。ショーマンシップの真髄というのを見せつけてくれた。

一方で、ミュージシャンシップも、しっかり披露する。レゲエ調の『ビリオネア』では、自らギターを抱えて、緩いヴァイブスに乗せて、あえてラフな調子で歌ってみたり。かと思えば『君がいたあの頃に』(When I Was Your Man)では、「人生で最も作るのに骨が折れた曲なんだ。歌うのも凄く大変」と前置きしてから熱唱。心の篭った極上ソウルヴォイスでうっとり酔わせてくれた。天才ぶりをひしひしと感じさせるのは、ピアノの弾き語りタイムも同様だ。また他のメンバーにも、きちんとスポットライトを当てて、見せ場を作ってあげていたのも、ブルーノらしい優しさではないかという気がする。特に日系ギタリスト、マテウス・アサトによるソロ・タイムはメランコリックで麗しく、ドラマー、キーボード奏者によるソロも、決して技巧を見せびらかすのではなく、オーディエンスも一緒に楽しるように配慮されていたのが印象的だった。

そして配慮といえば、日本のファンに向けた様々な計らいにも感激させられた。『マリー・ユー』のイントロでは、わざわざ日本語で「君をとても愛してる」と繰り返し歌ってみたり、MCでも日本語をふんだんに導入。「愛してます」や「ありがとうございます」はもちろん、両手でピースサインを掲げて「カワイイ、カワイイ」と言ってみたり、その後すぐに「ハズカシ、ハズカシ」と言って照れてしまったり(笑)。更にピアノの弾き語りパートでは、坂本九の『上を向いて歩こう』をチラッと日本語で歌ってみたり、日本のためのコンサートというのを常に忘れない。一方、『ランナウェイ』では、「みんなが大人しすぎるので、じゃあ僕がひとつ盛り上げてやるよ」とばかりに、バンド演奏を最小限の音量に落として、ブルーノひとりが次から次へと多彩なスタイルのダンスを披露。これには会場も大興奮で、割れんばかりの手拍子に包まれた。大きなドームがひとつになった瞬間だった。ありとあらゆる形でオーディエンスとの接点を作って、交流しようとするブルーノ。その健気な姿には、これぞ世界のトップスターのトップスターである所以なのだと納得させられた。

ピアノの弾き語りのセクションも、ファンとの距離を急速に縮めてくれた。ブルーノが少しだけ歌って、その後をオーディエンスが引き継ぐというスタイルで進行。ブルーノ自身の楽曲『トーキング・トゥ・ザ・ムーン』はもちろん、フィーチャリング曲の『ナッシン・オン・ユー』や、彼が共作を手掛けたシーロー・グリーンの『ファック・ユー』などにも、オーディエンスはすぐさま反応(前日の東京公演ではブルーノが提供した嵐の「Whenever You Call」も演奏)。洋楽人気の低下が嘆かれるようになって久しいが、全然そんなことないのでは? と思わせる熱狂ぶりだった。

終盤はロック度がアップして、ひりひり焼け付くようなサウンドとなった『グレネイド』をドロップ。真っ赤なライティングと映像、火柱などが次々と立ち上る中、ワイルドな歌とギター・プレイを交えて激しい演奏を繰り広げた。これまでのスウィートなアプローチとはまた異なるアグレッシヴな一面を窺わせた。が、その直後にはアッパーで楽しい『ロックド・アウト・オブ・ヘヴン』でムードを一変。カラフルな照明とビームが飛び交い、金色の紙吹雪がキラキラと降り注ぐ中、会場中がピョンピョン飛び跳ねた。続く本編ラストの『ジャスト・ザ・ウェイ・ユー・アー』では、あれほど歌っておきながら、まだこんなに美しい歌を聴かせられるのだと、ひたすら驚愕。しかも、すぐには終わってしまわず、ジェームス・ブラウンよろしく、ここからがダメ押しの連続だ。全開パワーで歌って踊って、メンバー紹介をして、また歌って踊って、オーディエンスと掛け合って、終わりそうかと思えばまた歌って踊ってという例のやつ。もうお腹いっぱいですという限界まで、とことんサービス精神のてんこ盛り大会で圧倒。その全てが極上のハッピーヴァイブスに溢れていた。

再び登場してアンコールで演奏されたのは、数ある彼のヒット曲の中でも特にビッグなメガヒット『アップタウン・ファンク』だ。アッパーなファンクを鳴らして、踊りまくってもうヘトヘトだけど笑顔が絶えないオーディエンスを、これでもかと再び踊らせる。ヒートアップしたステージからは、遂に炎が上がり、ようやくフィニッシュ。もちろん演出なのだが、ほんの一瞬のために、わざわざ消防士が出てきて火を消すという芸の細かさ。もはやコンサートではなく完璧に練り上げられたショーと呼ぶべきか。ミュージシャンとしての天才ぶりはもちろんのこと、究極のエンターテイナーとしての拘りや徹底ぶりも、ひしひしと痛感させられた。ラグジュアリー&グラマラスを極めたこのツアー。ドリンク付きのチケットや、ラウンジアクセス付きのVIPチケットも人気を呼んだというが、年に一度くらいはこういう贅沢もしたいかな、と思わせる極上の非日常体験だった。

[TEXT By 村上ひさし]
[PHOTOS by official]


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