H.I.P HAYASI INTERNATIONAL PROMOTION

LIVE REPORT

シャルル・アズナヴール

最後の日本ツアー2016

2016.06.15 wed at NHKホール
open 18:00/start 19:00

92歳、シャンソン界のレジェンド、最後の日本ツアー
現役感ほとばしる素晴らしいライブに喝采の嵐

 6月15日、東京・NHKホールで【シャルル・アズナヴール「最後の日本ツアー2016」】東京公演1日目が行われた。

 言わずと知れた“シャンソンの神様”といわれるシャルル・アズナヴール。5月22日に92歳の誕生日を迎えた彼の[最後の日本ツアー]と銘打った本公演は、2007年より実に9年ぶりの来日となる。“レジェンド”の日本で歌う姿を少しでも近くで体感しようと、高額なVIP指定席が早々に完売という盛況ぶり。客席には年配の紳士淑女が詰めかけ、期待に溢れた笑顔が満ちていた。

 バンドはギター、キーボード2名、コーラス2名、ドラム、ピアノ、ベースという編成。バンドメンバーが定位置に着いて準備が整うと、シャルル・アズナヴールがスポットライトをまぶしそうに手でさえぎり、客席をにこやかに見渡しながら登場。大きな拍手に迎えられてフランス語で軽く挨拶をすると、自らのルーツを歌う『Les emigrants / 移民たち』から公演はスタート。黒のスーツ、黒のシャツでシックに決めたシャルル・アズナヴールは背筋も真っ直ぐで、スタスタと歩く姿もさるものながら、その歌声はつややかで92歳という年齢はまったく感じさせない。

 右手でマイクを持ち、左手で表情を付けながら、時にスツールを自らセンターに出して座りながら、曲のイメージに合わせて変幻自在なシチュエーションを見せる。ライトで星空が演出された『Je voyage / 私は旅する』では、女性ボーカルとデュエット。美しいかけあいの後のハーモニーで彼女の腰を抱きながら軽やかに歌う姿は、実にチャーミングだ。

 ピアノの伴奏だけで『Sa jeunesse / 青春という宝』を語るように歌うと上着を脱いで、赤いサスペンダー姿に。「QUE C’EST TRISTE VENISE / 悲しみのヴェニス」では、イスの後ろに回り込み、前かがみにもたれかかるおちゃめな姿も見せた。

 『MON AMI MON JUDAS」がスタートするとほどなく手を上げて演奏を止めるシャルル・アズナヴール。バンドとのリズムが少しズレてしまったのだが、「このことは秘密にしてね。92歳にもなると……(笑)」と言って客席を笑わせて再び歌い始めるという貴重なシーンにも遭遇。リスタート後はノリノリで客席をのぞきこむ仕草を見せながら、最後には両手を広げ大喝采を浴びた。

 『Mes emmerdes / 想い出をみつめて』では客席から手拍子があがり、楽しい雰囲気に。御大もマイクを右手から左手にポンと投げてキャッチしてファンと一緒に楽しむと、スウィングするような『Les plaisirs demodes / 昔気質(かたぎ)の恋』では、軽やかなステップも飛び出し、自分の肩に手をまわして後ろを向いて、まるで女性と抱き合っているようなコミカルなダンスも披露した。

 続けて盛り上がったのは、これまた彼の代表曲『SHE / 忘れじの面影』。映画「ノッティングヒルの恋人」の主題歌としてエルヴィス・コステロがカヴァーして大ヒットしたこの曲を英語ヴァージョンで歌いあげた。

 バンドメンバーの紹介を終えると、おもむろにマイクスタンドをセンターに。「この曲は、同性愛者のために作った曲です」と紹介すると、アコーディオンの響きがもの悲しさを誘う『Comme ils disent / 人々が言うように』を熱唱。スポットライトがシャルル・アズナヴールを照らし出すと、大きな喝采が起こった。

 そして、ここからはクライマックス。アップテンポの『Les deux guitares / 二つのギター』では客席をあおり手拍子を催促すると、華麗なステップも披露。彼の代表作ともいえる『La boheme / ラ・ボエーム』では白いハンカチも健在。数人のファンがそのハンカチを目当てに、イントロが始まるとステージ前にかぶりつく。ハンカチでマイムすると、ステージ前のファンが一斉にアピール。ふわりと投げたそのハンカチを争奪するという、彼のライブの風物詩も見られた。

 ラストを飾ったのは、『Emmenez-moi / 世界の果てに』。バックにはライトでバラの花が浮かび上がり華やかな雰囲気に。早いパッセージを軽やかに歌うと、客席を指さし微笑む。そして、マイクを手に持つとステージを歩き回りながら歌う力強い声に観客もスタンディングオベーションで応える。ファンから花束を受け取ると、穏やかな笑顔で客席を見渡し礼をする。シャルル・アズナヴールは、大きな感動に包まれたホールに鳴り響く大きな拍手に何度も何度も振り返りながら、名残惜しそうにステージの袖に消えて行った。

 約1時間半、23曲を出ずっぱり、水も飲まずにいっきに歌いあげるシャルル・アズナヴール。観客は彼のシャンソンの世界にどっぷりと浸る。その姿に92歳という年齢は感じさせない。現役感ほとばしる素晴らしいライブに、レジェンドのレジェンドたるプライドを見たステージだった。

[PHOTO by SOSHI SETANI]
[TEXT by YUKARI SAKAMOTO]



先行発売TICKET

ただいま先行発売中のチケットはありません

一般発売TICKET

PAGE TOP