ARTIST PROFILE

SPEECH

Speechは、アメリカ・ウィスコンシン州ミルウォーキーで生まれた。同州最大のアフリカ系アメリカ人の新聞The Milwaukee Community Journalを35年間発行したRobert & Patricia Thomas/Pattilloの末っ子だった。幼い頃から、黒人コミュニティが抱える問題や、彼らの息吹を感じながら育った。ナイトクラブ”The Fox Trap”に通う父に付いて行き、Marvin GayeやSpinnersのサウンドに触れる内に、音楽に魅了されて行った。音楽の持つパワーと、それを受ける観客のリアクションを肌で感じ、音楽のパワーを使って希望や変化のメッセージを送り、インスピレーションを与えたいと考えるようになる。

その志を胸に、Speechは後にArrested Developmentというグループを結成する。地方からこじんまりと始まったが、後にArrested Developmentは音楽シーンにおいてパイオニア的存在となる。Speechが作曲・プロデュースしたアルバム”3 Years, 5 Months and 2 Days in the Life of…”に収録された曲が、２つのグラミー賞を受賞する（Best New Artist & Best Rap Single 1993）。1994年にセカンドアルバム” Zingalamaduni”をリリースし、これが大評判となり再びグラミー賞にノミネートされる。1995年にグループは活動休止を宣言。同時にSpeechは、実験的に自身のサウンド制作を始める。まだ楽曲はデモ段階だったが、それを知った所属レーベルはリリースの話を持ち掛ける。そして1996年、セルフタイトルのデビューアルバムで、ソロアーティストSpeechが誕生する。

その後、副大統領アル・ゴアやファーストレディのヒラリー・クリントンから、大統領選挙戦中に一緒にツアーして欲しいと頼まれる。これは、その後起こる様々な出来事の幕開けに過ぎなかった。その後、グラミー受賞のHootie & the Blowfish, Herbie Hancock, Chaka Khan, Youssou N'dour, James Brown, Parliament - Funkadelic, Jason Mraz, The Rootsらと共にツアーを周る。

また、自身のアルバムのツアーやリリースに加え、伝説的Zap Mama、マルコムX（スパイク・リー）のサントラや、Boomerang, Bebe’s Kids, Warriors of Virtue, Whipped, マイケル・ジョーダンのTo the Max（IMAXプロダクション）などのプロデュースも手掛けた。

日本を訪れる事を好むSpeech。日本では、歴史あるBlue Noteでパフォーマンスを行う。1996年以来5枚のソロアルバムをリリースし、常にトップ10ヒットシングルを排出して来た。2000年リリースの”Spiritual People”は、リリース3ヶ月後にしてゴールド・ディスクとなった。さらにADLIBマガジンからは、2000年のBest Black Music Albumを受賞した。各アルバムをサポートするツアーは、全てソールドアウト。プロモーションも精力的に行い、一年間で最低2回は来日を果たした。一方、自身の祖国が置き去りになっている事に気付いたSpeechは、再びUSにフォーカスする事を決意する。

2006年4月、Speechはアメリカの観衆を沸かした。自身がボーカルとターンテーブル、ギターにRick Ward、マンダリンにMike Mullisという、フレッシュなブレンドを魅せる。ツアーは大成功を収め、ニューアルバム""The Vagabond"" (Bluhammock records)のプロモーションをしながら、再びアメリカにSpeechの名前を轟かせる事に成功したのだった。ソロアルバム""The Vagabond""は、6th Annual Independent Music AwardsでBEST RAP/HIP-HOPアルバムを獲得。Speechは現在アトランタに在住し、1994年に立ち上げたVagabond Productionsは、ヒップホップ、ネオソウル、カルチャーの核となる存在にまで成長した。

Speechは、ヒップホップと社会変化に大きな情熱を注ぎ込む。 Ty, 1 Giant Leap, Brailleとのコラボレーションも見逃せない。 また、待望のArrested Developmentの再結成アルバム""Since the Last Time""も要チェックなこと間違いない。