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LIVE REPORT

清水翔太

清水翔太 LIVE TOUR 2014 “ENCORE”

2014.7.30 wed 東京国際フォーラム ホールA
open 18:00 / start 19:00

実力派として歩んで来た清水翔太が見つけた
シンガーソングライターとして、”一番大切なもの”とは?

夏真っ盛りの7月30日。約2年ぶりのオリジナルアルバム『ENCORE』を引っさげた清水翔太の全国ツアーファイナルが、東京国際フォーラム ホールAで開催された。
開場前からツアーグッズを買い求めるファンらでごった返すエントランス。
年齢層は、20歳前後だろうか。ちらほらとその他の年代のファンも見受けられる。夏らしい白のストローハットに短パン姿のファンや、シックな黒のツアーTシャツを揃いで着用し参戦するファン。更に、女性のファンのクオリティの高さに驚く。美しい。また、カップルで足を運ぶファンが多く、清水翔太がきっかけで結ばれたのだろうか(ニヤニヤ)などと想像を膨らませつつ、会場へ。
とたんに異空間へ吸い込まれたかのような空気感に息をのむ。2F席から後ろを振り返ってみても、無限に席が続いているように感じさせる、驚く程の広さだ。
チケットは、SOLD OUT。だだっぴろい開場を埋め尽くす約5000人の、人、人。音響の素晴らしさもお墨付きのこの会場で、清水翔太の声が聴けるなんて、とんだラッキーだ。そして、ステージと客席が異常に近い、というファンにとっては嬉しい興奮ポイントも。期待が高まる。

オープニングアクトで歓声に包まれ登場したのは、”ダンサーソングライター” の當山みれい。スポットライトを浴び、トレードマークの黒髪にお団子スタイルで、まずはJackson 5の『I’ll be there』をアカペラで披露。スティービー・ワンダーやダイアナ・ロスなど数々の大物を輩出したNYのアポロシアターのアマチュアナイト/キッズ部門で優勝するという快挙を成し遂げ、既に全米デビューを果たしている、日本人離れした彼女の歌声は、新人とはいえ、貫禄たっぷり。彼女が16歳という自身の年齢を告げると「ヤバい!」とどよめく会場。1フレーズで観客を圧倒するその実力を示した。そして、6月にリリースされたデビューシングルから『I wanna NO』を海外でも絶賛されたダンスとともに披露。ノリの良いアッパーチューンに会場もクラブのような盛り上がりを見せ、本編への準備運動はバッチリ!!!

翔太コールが会場を埋め尽くす中、マッチの火の映像がスクリーンに映し出される。男くさい重低音の効いたサウンドとともに、葉巻きをふかすシブい映像へと繋がる。実況中継かと思わせるような、清水翔太の背中の映像が映し出された瞬間、割れんばかりの歓声に包まれ、「TOKIO!!!」という叫び声とともに清水翔太が登場!4人のダンサーと5人のバンドメンバーを従え、アルバムのオープニングナンバー『Impossible』を抜群の声量とリズム感で熱唱。
鳥肌ものである。漫画「スラムダンク」を読んでインスパイアされたというこの曲は、柔らかなイメージのこれまでの楽曲とは異なり、アグレッシブで力強い1曲。前後にブルーのペンライトが揺れ、イントロから盛り上がり方が半端ない。清水翔太の通る声と、トラックの重低音が体に直撃する。曲とともにカラフルに彩られるステージ上の”ENCORE”の文字のオブジェと、光の演出もカッコいい。

開始早々のMCでは「今日は、、ENCOREツアーファイナルでございます!!!」と高らかに宣言するも、「いやいや、ちょっとまってくれ、、ファイナルっちゅーことで、気合い入れすぎてお腹いたくなってきた笑」と水を補給し始め、会場を沸かせる。ゆるい。同年代のファンが多いこともあるのか、まるで友達のようなやり取りが続く。

MCでファンとの距離をぐんと縮めたところで、ピアノ伴奏から始まる『DREAM』を披露。ファンにサビを任せるという、清水翔太のライブならではのコミュニケーションが。清水翔太の歌唱力の高さ故か、ファンの歌声もかなりクオリティが高いことに気付かされる。その一体感に感心する。清水翔太のような、本格派の音を聴いてきているファンは、耳が鍛えられているのだろう。そして、失礼ながら、スレンダーで小柄な体からこんなにも深くパワフルな声が生み出されている不思議に、改めて気付かされる。
ちなみに、本物のカップルが出演しているという拘りのPVを是非見て欲しい。

続けて、アルバム収録曲のせつないバラード「ナツノオワリ」「Shower」を歌い上げると、左右に動いていた会場は、徐々にペンライトを振ることも忘れ、ステージに釘付けに。それぞれの想いを巡らせながら、歌声を聴いているのだろうか。清水翔太の良さはここにもある。個人的な歌のようで、聴く人それぞれのストーリーにシンクロする歌なのだ。指笛で賞賛を送るファンが多く、なんだか素敵だ。日本ではない気がしてくる。

ライブも佳境へ。大ヒットを記録し、日本レコード協会からゴールド・シングルに認定された不動のラブソング「アイシテル」などをピアノで弾き語った後は、ステージ上にスモークが吹き出し、ダンサータイムへ突入。ステージ上に1脚用意されたイスを残し、客席へ意気揚々と降りていくダンサー達。一人の女性ファンがダンサーに連れられ、ステージ上へと押し上げられる。一人ステージに残され、不安そうな女性ファンの前に、サングラスに帽子、スーツ姿の清水翔太が背後から登場し、「KISS」を熱唱。肩に手を置いたり、ひざまずき、これでもかと大接近!極めつけに、清水翔太が女性ファンにキスをしたのか!?というギリギリの瞬間に暗転するというサプライズ演出があり、悲鳴混じりの歓声と拍手の嵐で会場のボルテージは最高潮に!

直後のMCでは、「さっきのあれさあ、、どう?!」といたずらっぽくファンに投げかける。「ずるい!」と声を上げるファンに、満足げな顔で「チューしたのって?どうだろうねえ、、。」と煙に巻きほくそ笑む。「スケベ!!!」というファンの言葉にも、笑いながら「そんな言葉が飛んでくるようにもなりました。25歳でございます!
と感慨深げに返し、モテてこなかった悲し い少年時代スートーリーを繰り出しつつ、今や、演出で”調子こけるようになった自分”をネタにしたりと、笑いが絶えない。
清水翔太って、面白い。Twitter や数々のインタビュー等で見せる、深い洞察力を持った真面目な青年という印象もありつつ、「こわいお。」と戯けてみせ、大爆笑をさらう無邪気な一面もある。始終、和やかな雰囲気。アーティストとしての圧倒的な才能とオーラを持ちつつ、ファンに近い所に自然と佇む、清水翔太。こんな雰囲気のアーティストは初めてだ。

そして、ライブ本編は早くも終盤に突入。今回のアルバム収録曲でもあり、久々のカバーソング、セリーヌ・ディオンを始めとするポップス界の大物に歌い継がれているキャロル・キングの『You’ve Got A Friend』を自身の大切な友人とファンに向け、しっとりと歌い上げる。
クライマックスへ向け、清水翔太のルーツを感じさせるコスペル調の「美しき日々よ」をファンと大合唱し、会場の一体感は更に高まる。
ラストソングを前に、今回のアルバムを作成するにあたり、どういう曲をかけばいいのかと試行錯誤した経緯や、日本の音楽シーンについて静かに話しだす。「音楽いいな、っていうシンプルな思いが広がって行けば良いと思う。一番大事なのは、熱量や魂がこもっていること。それが、音楽を表現し、人前で伝える人間としては、最も大事なことだと僕は考えております。
と語り、自身を支える多くのスタッフやファンに溢れる愛と感謝を表現しようと生まれた曲、『シンガーソングライターの唄』をアコースティックギターの弾き語りで心を込めて披露。そして、大歓声と拍手に包まれながら、本編は終了した。

会場のどこからともなく『ENCORE』の替え歌が繰り出される。
ステージ幕に、マイケルジャクソンを真似たシルエットが映し出され、清水翔太が再登場!Tシャツにシーンズ姿で、アルバムタイトル曲『ENCORE』を熱唱。続くMCでは、これまでの全国ツアーでのアンコール話を笑いを交えて話し、これから先のライブも、このアンコール曲じゃないと翔太出てこない、みたいにしたい!と語った。
名残惜しそうに声を上げるファンに、「皆の歌声と僕の歌声がひとつになって、初めて光り輝く1 曲です。是非この曲を一緒に歌って終わりましょう!」と述べ、デビュー曲『HOME』をツアーラストソングとして披露。圧巻の歌唱力と、表現力、そして見事なスキャットで歌いきる。スタッフへの労いの拍手を送った後、ダンサーのKOTA、FUNE、CHOPPER、CHABOと、バンドメンバーのGt.コンちゃん(近田潔人)、 Key.英ちゃん(河合英史)、DJ.SHUYA、Ba.渉(鈴木渉)、Dr.カズ(佐々木一剛)を一人一人紹介し、お礼を述べた。
「ありがとう!
とファンに声を掛けながらステージを隅から隅まで歩き、ファンとの交流を楽しむ清水翔太。会場にいるファン全員からのメッセージが聞き取れず、「わかんない。もっかいやって笑」というハプニングも。
パフォーマンスが終わってなお、長時間ステージに残るアーティストも珍しいのではないだろうか。「清水翔太でした!ありがとう!」と深々とお辞儀をし、ステージの奥に吸い込まれていった。アルバム全曲を披露し、全国18公演に及ぶツアーファイナルは大成功のうちに幕を閉じた。
バンドメンバーも、ダンサーも、ファンも、そして清水翔太も幸せそうに見えた。

公演直後は、フルマラソンを走ったかのような気分に襲われた。(走ったことはないのだけど)それほど、清水翔太の持つ生の声のパワーが圧倒的だったのだろう。今回のツアーファイナルでの清水翔太は、想像を1周どころか、2周、3周と越えて来た。

清水翔太の歌を初めて聴いた時の衝撃を忘れない。こんな天才肌のアーティストが日本に遂に現れたか!と興奮し、初回限定版の1stアルバム『Umbrella』を買いに走った。デビュー当時のパフォーマンスと比較して、成長をした、というにはあまりに言葉が足りなすぎる。決して”背伸び”ではなく、アーティストとして、シンガーソングライターとして確固たる自信を持ち、深みを増した清水翔太がそこにいた。歌がうまいだけじゃない。特筆すべきは、サプライズ演出はあったものの、決して、ド派手な演出をするわけでもなく、カラフルに衣装替えをする訳ではない。(ツアーグッズもモノトーン) ただ音を奏で、歌を伝える清水翔太がそこにいた。ファンも、歌そのものを楽しんでいるから、じっくりと曲に聴きいっては、「すごい!」「ヤバい!」と思わず口をついて出たように感嘆の声を漏らす。そして、一緒に歌う。ライブの良さに定評がある清水翔太だが、それは当然のように思えた。

速度を増す日常の中で、私たちの心にふっと帰ってくるのは、こういう音楽なのだろうと確信に似た想いにかられた。
時々、現実を目の当たりにし、知らぬ間に自分の世界を狭めている時がある。夢見ていたあの頃、無邪気に情熱を持っていたあの頃を思い出し、そこに帰ってゆくような、そんな気分にさせてくれたステージだった。

なお、8月27日(水)には、デビュー曲『HOME』から、最新シングル『DREAM』までを網羅した、清水翔太MUSIC CLIP集【SHOTA SHIMIZU MUSIC CLIP集2008-2014】をリリースした。10月から11月にかけては、Zepp Nagoyaを皮切りに、加藤ミリヤとの【THE BEST 2MAN TOUR 2014】が決定している。清水翔太の軌跡を辿り、そしてライブにも足を運んで、”ホンモノ”をその耳で、聴いて体感して欲しい。

良いものは残っていく。私が彼の1st アルバムを今でも時折、聴きたくなるように。

[TEXT by RIE SUMI]
[PHOTOS by 伊藤 麻矢]



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