H.I.P HAYASI INTERNATIONAL PROMOTION

LIVE REPORT

ONE THOUSAND MILES TOUR 2016

ALL TIME LOW / From Ashes To New / ONE OK ROCK / PVRIS

2016.1.31 sun at 新木場STUDIO COAST
open 15:45/ start 16:30

日本を背負い、ONE OK ROCKが参加!
世界規格の熱狂ショウケースが今年も開催!!

 1月31日、新木場。海の寒風が身を切る東京湾岸に位置する地域だが…新木場駅から会場までの道のりは、駅のコインロッカーで臨戦態勢を整えたまさかのTシャツ姿、もしくはせいぜいパーカを羽織った程度の薄着キッズが大移動。しかも既に高まったテンションを覗かせながら、顔には期待に満ちた笑みを浮かべて。キッズの温度センサーをブッ壊すそのイベントは[ONE THOUSAND MILES TOUR 2016]である。
同イベントは2回目の開催で(※前回は2015年1月、[TEN HUNDRED MILES TOUR]というタイトルで開催)、世界各国で活躍する良質なバンドを日本に紹介する趣旨を持っている。観客にとっては、アンテナを張ったオーガナイザーが推奨する世界レベルのバンドを一夜で楽しめるショウケースだが、同時に出演するバンドにとっても非常に貴重な機会でもある。グローバルなツアー展開をしていく上で欠かせないバンド同士のネットワーク作りという側面もあれば、その国のシーンに爪痕を残す機会になるわけだ。そのホスト国、日本代表としての大役を買って出たのは、2年連続の出演となるONE OK ROCK。スタジオコーストもキャパ2400の大箱だが、なにせ自身の企画ではスタジアム/アリーナクラスの彼らである。というわけで、この東京2デイズは早々にソールドアウト。イベントの趣旨、出演バンドのモチベーション、そしてオーディエンスの期待感と、さまざまな意図を汲んだこれ以上ない状況が整った。あとはイベントを、バンドを、数々の新たな発見を楽しませてもらおう。

 爪痕を残す、そういった意味ではひとかたならぬ思いで挑んだであろうバンドが、この日の一発目、アメリカ・ペンシルベニア出身のFrom Ashes To New。初来日、しかもこの東京2デイズのみの来日ステージである。2013年結成とバンド自体新しい彼らは、もうイケイケドンドン。一発目というポジションにも相応しい勢いと熱量あるステージを展開した。
 野太いRAPスタイルのMatt Brandyberry(Vo)、クリアトーンで時にメロディアス、時にスクリームを轟かせるChris Musser(Vo)というツインボーカルを擁する彼ら。そのサウンドは、ツインギターによるオールレンジの壁を構築する強靭なヘヴィロックだが、珍しいことにベースレスである。その分、ギターそれぞれのアプローチや、太鼓単体の余韻までもが顕著に伝わる生々しさがある。その手触りが瞬間の熱量を増長させ、衝動を刺激してくる。中盤4曲目、そんなバンドの真髄を発揮したかのようなハードエッジかつダイナミックなグルーヴが押し寄せる『LAND OF MAKE BELIEVE』では、フロア後方まで拳が突き上がり、そこかしこにモッシュピットも出現。さらに終盤では最後方までハンドクラップに包まれる、初来日とは思えない光景が広がる。クリスはダイブからのクラウドサーフ、マットはステージを降りフロア最前で揉みくちゃになりながらパフォーマンス。フロアを起爆させるツボも心得たステージングは、キッチリとザックリと、深い爪痕を残し30分のステージを終えた。彼らはこの2日後にはアメリカ・アリゾナでライブとのこと。ステージもフットワークも猛烈にタフな世界規格に脱帽である。

 続くPVRIS(パリス)は、女性ボーカル、リンゼイ・ガナルフセンを擁するアメリカ・マサチューセッツ出身の、これまた今回が初来日公演。元々メタルコアバンドであったとか、Warped TOURに参加していたとか、そういった前情報はあったものの、まったくバンド像が掴めない。そんな期待と不安は、ステージ冒頭の一瞬で消し飛んだ。『WHITE NOISE 』の導入をほぼアカペラに近い状態で歌う彼女の声は、会場を瞬時にして凛とした空間へと塗り替えてしまった。驚くべき透明感と、隅々まで優しく浸透していくような芯を持ったその美声は、名刺代わりには強烈すぎるインパクトである。そして、歌をよりビビッドに色付けるように重なるバンドアンサンブルは緻密にして繊細、何よりも実験的な表現への挑戦に満ちている。ステージ下手のAlex Babinski(Gt)は空間をさらに押し広げる巧みなディレイワークを見せ、同時にオルガンの音色を軸としたキーボードも兼任。上手のBrian MacDonald(Ba)はウワモノの広がりに立体感を生み出すボトムを支えつつ、彼もシンセパッド的な機材を設置し、PVRISの独創的でドラマチックな世界観を表現する。ものの2曲でオーディエンスの心を掴めば、中盤ではより増し増しで熱量を投下。それまでの透き通るような美声がリズミックに躍動し、そして吠える。その印象変化がもたらす破壊力は言うまでもない。
 終盤では残念ながら機材トラブルにより1曲カットを余儀なくされたようだが、そのストレスからか、ラスト『MY HOUSE』は特に圧巻だった。リンジーはさらなるエナジーを放出させ、バンド全体も引きずられるかのように感情を爆発!! PVRISは発見の連続だった。サウンドやプレイの可能性という部分での発見、“海外にはこんな面白いバンドがまだまだいるぞ”というバンド自体の発見。これがショウケースの楽しさだなぁと痛感する。

 さて、早くもイベントは後半戦。ステージ背面には“ALL TIME LOW”のドデカいバナー、ドラム台をセンターにアンペグのキャビとマーシャルのキャビが2台、それらがシンメトリーに配置された堂々たるステージ。待ちわびたオーディエンスの歓声が沸き立つ中、その登場を告げるQueenの『We Will Rock You』が鳴り響く。さぁパンクロックパーティの幕開けだ!
 1曲目は最新アルバム[Future Hearts]から『KIDS IN THE DARK』。数々の国内大型フェスへの出演も果たし、来日経験も豊富な彼ら。既にお祭り騒ぎのフロアからはブラジャーが飛び交い、続々とJack Baraka(Gt)のマイクスタンドに集結していく。ファンにはお馴染みの光景だ。そんな下着好きジャックはステージ上を縦横無尽に駆け回り、負けじと熱のこもったプレイと派手なアクションでオーディエンスを煽りたてるAlex Gaskarth(Vo)。ド頭からまるで彼らのワンマンであるかのような盛り上がりである。パンクならではのカラフルさ、そしてALL TIME LOWならではのバリアフリーな開放感が、オーディエンスのパーティスイッチをいきなりピークにまで押し上げてしまったようだ。
 タフで、心地よく疾走するビートは、哀愁や甘酸っぱさをはらんだアレックスの絶品の歌唱にさらなる推進力を与える。ストンプナンバー『DANCING WITH A WOLF』の大陸的な強さや、やり場のない感情の暴発を歌う『WEIGHTLESS』の儚くも美しい旋律、そしてこれぞUSA!な『Damned If I Do Ya(Damned If I Don’t)』のカラッとしたポップ感。曲を追うごとに滲み出るバンドの幅広い音楽的キャパシティは、まるでポップパンクのジュークボックスのように楽しく、そして多彩だ。
 さらには途中、「英語を喋れるヤツは?」と見つけ出した観客の女の子をステージに上げ、彼女を介してオーディエンスに肩車を要請する一幕も。彼らのステージは、あらゆるアクションもMCもオフザケも、限られたその時間を徹底的に楽しませるエンターテイメント性に満ちている。『MARIA』では、もはやジャックはギタリスト業務をローディに託し、終始アオリに徹する始末。他ならぬメンバー自身が誰よりもその時間を楽しんでいる姿に、気づけば関係者席ですら笑顔が溢れる。世界屈指のパーティ野郎ども、さすがである。

 ここまではまさしく三者三様。個性やサウンドアプローチはまるで異なる3バンドだったが、各バンドのエモーショナルな表現力には目を見張る素晴らしさがあり、本質の部分での共通項として明確に打ち出されていた。終始盛り上がり続けたフロアの様子こそが、それを如実に反映した形だろう。世界で活躍する現在進行形のロック、その精鋭が集まったイベントの成功を締め括るのは、同じく世界へと邁進を続ける我らがONE OK ROCKだ。

 幻想的で荘厳なSEが流れ、観る者の衝動を呼び覚ますかのようなTomoya(Dr)とRyota(Ba)の密度の濃いボトムが、そして緊張感を逆立てるToruの硬質なアルペジオが重なっていく。オープニングは『3xxxv5』。期待と不安を否応無く引上げたところで、絶叫のような歓声を引き連れVo.Takaが登場。『Take me to the top』へとなだれ込む。そしてフロア爆発! 一瞬で沸点にまで達したフロアの凄まじい光景は、3曲目『Deeper Deeper』で臨界突破。とめどなく巻き起こるクラウドサーファーの群れ、そこかしこで咲き乱れるモッシュピットの大輪の数々、圧巻である。
「どうか皆さん、昨日を超える景色を僕たちに見せてください。腹の底からの声と気合をこのステージにぶつけていくれ、いいか!」
 連日のライブだろうが、Takaのボーカルには一切のリミッターが効いていない。繊細なファルセットや空気を切り裂くようなシャウトを交えつつも、揺るぎない歌唱力を見せつける。そして楽器陣、彼らも決してTakaのフォロー役に回っているわけではない。移動のできないTomoyaですら“俺がフロントマンだ!”とばかりに、猛烈な“圧”でその存在感を主張。唯一無二の炸裂感は、スタジオコーストのステージが狭いと錯覚させてしまうほどだ。
 中盤ブロックにはTakaの美声と技術を堪能できるミディアムナンバーが並ぶ。特に『Clock Strikes』では、ライブ空間を包み込んでも余りあるオーディエンスの大合唱を誘い、肌が粟立つ感動的な一体感を作り上げた。そして締め括りには、Toruのアコギ伴奏のみという最小限のサウンド構成での『Wherever you are』。楽曲と歌の力のみで、2400人を飲み込む堂々たるパフォーマンスを見せる。
「あと2曲です。この2曲に皆さんのパワーをぶつけてください。倒れんなよ?」というMCから、終盤を飾ったのは『The Beginning』『Mighty Long Fall』。曲中、曲間も、メンバー自身が観客をケアする姿が何度も見えたが、それほどにフロア全体は熱狂の渦と化していた。押し寄せる爆音に自分の感情を添えて吐き出すオーディエンスたち。Takaが前柵に飛び移り、そのまま人海の上で高々と拳を突き上げれば、はるかに遠いフロア後方からもステージへ伸びる無数の手。稀代のカリスマの存在感を見せつける光景だった。
 天井知らずの熱量はそのままアンコール『完全感覚Dreamer』にも注がれる。いや、さらに上昇。ToruとRyotaはともにステージ最前をキープし、フロアから沸き立つオーディエンスの熱気を貪り喰らうかのようにプレイ。ピッチの上ブレもお構いなし、過剰なまでに高いテンションでのTakaのパフォーマンスは、楽曲を血の通った生き物、それも最強の野獣へと変貌させる。ONE OK ROCKのライブは演者が熱を放出するだけではない。観る者と熱を求め合い、高め合う。パフォーマンスへの意識が飛び抜けて高いのは間違いないが、それだけじゃない。純粋に、狂おしいほどにこの空間と瞬間が好きなんだということが伝わるステージだった。

 東名阪で行われたショウケースツアー[ONE THOUSAND MILES TOUR 2016]。イベント自体の楽しさ、得るものの大きさはさることながら、将来的に見ても日本の音楽、バンドをさらに成長させることに繋がる貴重な機会だ。来年もツアー開催を願いつつ、今年楽しんだ人は来年も、今年行けなかった人は来年こそは是非とも参加してほしい。最後に、このイベントの持つ意味、そしてONE ROCK ROCKがそこに参加する意味を明確に表したTakaのMCで締め括りたい。

「今日初めてONE OK ROCKのライブを観に来た人や、もしくは今日初めて海外から来てる他のバンドを観た人、いろんな人がいると思います。こういったツアーを回れるってことは凄いことだなと思います。
日本の音楽っていうのはね、僕らが実際に海外に出て、目で見て肌で感じた上で言えることは……まだ全然届いてないし浸透してません。なんで音楽がもっともっと外に出ていかないのかな?っていう、すごく純粋な気持ちにかられながら、今もアメリカの地で、ヨーロッパの地で、アジアの地で、南米で、ロシアで、肌にいろんなことを感じながら、ステージの上で音楽を鳴らしてます。
皆さんに僕らが伝えたいことは、たったひとつです。日本という国に止まらずに、どんどん世界に出て欲しい。日本っていう国がいかに素晴らしいか、そして日本っていう国がいかに強いか、いかにカッコイイか、これを伝えるのは……たぶん僕らだけじゃ無理だからさ。こういう機会にしっかりと海外のバンドを見て、俺らを見て、世界を見て、一緒に共に戦っていきましょう」

[TEXT by GO NEMOTO]
[PHOTO by SOSHI SETANI]



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