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LIVE REPORT

ZAZ 「PARIS ~私のパリ~」発売記念

“One Night Premium Showcase”

2015.01.10 sat at 恵比寿 ザ・ガーデンホール
open 17:00 /start 18:00

フランスの”国民的女性シンガー”ZAZ(ザーズ)が急遽来日!
一夜限りのパリへのショートトリップ!

 駅から続く遊歩道を抜けて歩むと、夕刻のオレンジ色の暖かい光が溢れる恵比寿ガーデン・ホールに到着。澄んだ冷たい空気が美しい景色を一層はっきりと見せる。
この日、各国の音楽賞を総なめにし、本国フランスでのセールスはダフト・パンク超えという、今やフランスを代表する歌手となったZAZが一夜限りのプレミアム・ショーケースを行った。チケットは、2年前の来日に引き続き、SOLD OUT。ワーナー移籍後第一弾のアルバム(自身としては3枚目)となるシャンソン・トリビュート版[PARIS ~私のパリ~]の日本盤リリース(1月28日発売)を控え、日本のファンにとっては待望のステージとなった。大御所クインシー・ジョーンズを迎えた最新アルバムは、パリへのオマージュ、そして、エディット・ピアフ、エラ・フィッツジェラルド、フランク・シナトラなどの偉大なミュージシャンをオマージュした作品で、シャルル・アズナヴールを始めとする豪華アーティストとの共演も見逃せない。
落ち着いた年齢層が多いのではと予想していたが、カップルや家族で訪れている人達も多く、日本での幅広い人気が伺える。会場内は”こなれた”という言葉がピッタリの品がありつつ、オシャレな観客が多く、パリに来たかのような穏やかな空気を漂わせている。

 冒頭では、MC Sascha(サッシャ / J-WAVE ナビゲーター)によるZAZのプロフィール紹介と10分ほどのインタビューが行われた。ざっくりと髪をまとめたアップスタイル、肩のあたりがシースルーになったブラックのミニドレスで登場したZAZ。何歳になっても女らしさを忘れないフランス人女性らしく、シンプルな装いにも大人の色香が。日本の印象や、日本の好きなもの、お土産は何を買って帰るかなどの質問がなされ、和やかな雰囲気で進行。「日本にいる方が落ち着くわ。」と日本贔屓な発言には、会場も笑顔に。パリで起きたフランスの新聞社、シャルリー・エブド襲撃事件に話が及んだ際は、一転、凛とした表情で「これはパリだけの問題ではなく、世界どこでも有り得る普遍的な問題。人類愛や、表現の自由のために、一人一人が行動を通して敬意を示すことが大切。私は音楽を通して責任を果たしていく。」と述べたZAZへは賛同の拍手が送られた。

 そして、いよいよ一夜限りのプレミアム・ショーケースが幕を開ける!
「トウキョウノミナサン、コンバンハ!」と慣れない日本語で挨拶をした後、PVのYoutube 再生回数が公開2ヶ月で100万回を超えた『Paris sera toujours Paris / いつものパリ』、トランペットとの見事な掛け合いを見せた、軽快なスペシャルアレンジバージョン『Paris Canaille / パリ野郎』など最新アルバムからのレパートリーを、発売に先駆けて立て続けに披露。一気にパリの街へとトリップ!エディット・ピアフの再来と言われた、クセになるハスキーボイスと独特のスキャットには、思わず感嘆のため息が漏れる。オーディエンスも軽く左右に体を揺らし、手拍子で盛り上がる。本公演では、日本人を含む、総勢8名のミュージシャンがバンドメンバーとして参加。シャンソン、ブルース、ジャズ、ラテンなど彩り豊かなアレンジとZAZの卓越した歌唱力との見事なマリアージュを披露。ワインレッドや、ターコイズブルーの照明で彩るシンプルでシックなステージ演出も絶妙だ。
“何が起ころうが自分は自分のままでいる”という、明るくも強い意志を歌った「Comme ci, comme ça /コム・シ、コム・サ」では、バンドメンバーとZAZが手を上下させてスタンディングを促し、次々に立ち上がるオーディエンス。拍手と歓声が確実にボリュームを増していく。左手を開いたり閉じたりするキュートな仕草や、指を鳴らしてリズムに乗る姿が本当に楽しそうなZAZ。感情の赴くままに、シャウトし、自由にステージを舞う彼女に心を奪われてゆく。MCは全てフランス語だった為、「フランス語がわかる人は、お隣さんに説明してあげてね 笑 お隣さん全員によ 笑」とおちゃめな一面も覗かせた。フランス語が分からなくても、ZAZの楽しげな表情だけで、音楽って楽しいんだということが、オーディエンスの盛り上がりから伝わってくる。思わず笑顔になって、元気を貰う。そんなポジティブなエネルギーを彼女は持っている。

 中盤の『Dans mon Paris / 私の心のパリ』では、「私のパリは、シャンゼリゼや、エッフェル塔だけじゃない。」と前置きし、様々なパリの場所を引き合いに出し「私のパリは、ポピュラーなパリと、ミックスされた文化。」と語った。様々な人種が暮らすパリならではの、多様な人種と文化が織りなす景色もパリの重要なエッセンスだと考えているのだろう。知性に溢れる発言をしながらも、歌うとなれば、おどけたような、子供のように無邪気な顔も覗かせる。バランス感覚を持ち合わせたアーティストだ。
明るい”動”のパリもいいが、ゆったりとした”静”のパリもいい。「真のポエジ(詩)」と紹介した、『La complainte de la butte / モンマルトルの丘』では、アコーディオンのロマンティックな響きに身を任せ、音楽と一体に。美しい調べに、じっくりと聴き入るオーディエンス。
ライブも終盤、天下一品の”口カズー”を思う存分披露した『Je veux / 私の欲しいもの』では、「一緒に叫んで!」と”ラララ”のコール&レスポンス。会場が総立ちとなり、会場の熱気は最高潮に!熱気をそのままに、なだれ込んだ『On Ira / 行こう!』でもオーディエンスを巻き込んで、大合唱。大歓声と指笛、拍手の嵐で大興奮の本編は終了した。
本編とは打って変わって、アンコールでは甘く気だるいアレンジでお届け。エディット・ピアフの『Dans ma rue / 私の街で』を力強くも、しっとりと歌い上げると、会場はその奇跡の歌声に酔いしれた。会場のファンからプレゼントされた赤い花の髪留めを嬉しそうに髪につけると、拍手と歓声の中、キスを振りまきバンドメンバーと共にステージを後にした。充実のパリのショートトリップは、大成功のうちに幕を閉じた。

 彼女の声を聴いたら、彼女が笑うのを見たら、彼女の歌う姿を見たら、誰もがZAZのファンになってしまうだろう。1時間という限られた時間の中で、彼女は様々な顔を見せてくれ、たくさんのパリの景色を運んでくれた。ステージでも披露した、セカンドアルバム[ZAZ ~私の歌~]の収録曲『On Ira / 行こう!』に、”Mélangées de nos differences (私達の違いをミックスしよう)”という歌詞がある。様々な人種や文化が混在するパリを知るZAZだからこそ、伝えられるメッセージなのかも知れない。ステージを通して感じたのは、押し付けがましく声高にメッセージを伝えるでもなく、音楽を共に楽しむ、というシンプルなところに、ZAZの想いが集約されていたのではないかということだ。ステージに立ち、アーティストとしてできることをし、この広い世界の中で、同じ空間を共にする人達との時間を精一杯楽しんでいるZAZの姿は、私達の心に優しく楽しい気持ちを芽生えさせた。あの場所にいた全ての人にとって、まさにプレミアムな一夜となったことは、間違いない。

 日本盤[PARIS~私のパリ~]は、1月28日に発売。日本限定のボーナス・トラックを含む、全14曲を収録。長きに渡り愛されてきた珠玉の名曲を、シャンソン、スウィング、ビッグバンド、ジャズとまさにミックスされたアレンジでZAZが歌い上げるカバーアルバムとなっている。強烈なまでに心を躍らせるZAZの歌声を、是非堪能して欲しい。

[TEXT by RIE SUMI]
[PHOTO by Official Photographer]

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