H.I.P HAYASI INTERNATIONAL PROMOTION

LIVE REPORT

伊藤祥平

PRESS ON ! vol.1

2012.05.24 thu at 渋谷 O-nest
Open 19:00 / Start 19:30

前進し続ける伊藤祥平。その姿を追う。
自主企画イベント”PRESS ON!Vol.1″のライブレポートをお届け!

今回のライブレポートは、いつもとは少し違った形式でお届けしたい。
先ずは今回の企画の主旨から。

【PRESS ON!】
PRESS ONとは”前進し続ける”という意味を持つ。

「皆が目指す夢や目標へ前進し続けられるように生の音楽を通して癒しや喜び、元気を発信し、日々活力へ繋げられるようなライブをしたい」

「同世代のアーティスト、ミュージシャン同志が互いに刺激し合い、高め合い、それぞれの音楽で前進し続けられる場を作りたい」

この2つの想いからイベントの立ち上げを考え、このタイトルを付けたという。

O-nestの螺旋階段を下り、扉を開いたら薄暗いステージにひとりの女の子がギターを抱え、座っている。
こんなにも線の細い女の子がこれからステージに立ち、何を届けてくれるのかと胸が膨らむ。

ギターの音色と共に、♪Yeah~と”澄んだ瞳の先は”が始まった。
歌い声といい、裏声といい、全ての声が気持ちよく包んでくれる。
「こんばんは、片平里菜です」と”夏の夜”に繋げ、その歌詞の世界観といい…等身大の女の子の心の叫びを歌っている気がした。

「福島県の福島市から来ました片平里菜です。よろしくお願いします。次の曲は私なりに皮肉を歌った歌です。」と始まった”ironic”
正直、鳥肌が立った。始まりのメロディといい、力強さといい…何があったんだ!この子には何が起きていたんだ!と最近の歌詞のぬるま湯加減にうんざりしていた私の度肝が抜かれる。
“tiny room”では、会場から手拍子が必然的に生まれどんどん引き付けられていくのが分かる。
デビューしていないアーティストとは思えない…このド迫力。このスタンス。先程までの細い線がどんどんと大きくなっていくのがステージ上で分かるのだ。
初めてボランティアで石巻に行った時の話をしていた。
震災後、自分なりに感じるものがあり、ずっと被災地を想いながら歌ってきた”amazing sky”。
誰よりも大きなその想いがこの会場に居る全ての人に届いたと思う。

そんな片平里菜に話を聞いた。

―片平さんから見た伊藤祥平とはどういった人物?

片平:私に足りないものが揃っていて、懐の大きさやギターのプレイ内容だったり…セッションの素晴らしさを感じる人です。

―今後、一緒にやるとしたらどのようなところでやってみたいですか?

片平:大きい舞台でやってみたい。そして自分をさらけ出せるようなライブがしたい。もっと大きな事をやってみたいです。

そんな片平の次回ライブ日程は、なんと7月16日に横浜アリーナで開催される”ASIAN KUNG-FU GENERATION presents NANO-MUGEN FES.2012″。
片平の幅広い強弱を効かせた発声と呼吸の使い分けに注目しておきたいところである。
彼女の澄んだ透き通る声の中に何を見る事が出来るか…
彼女の歌声、そして感性、何より歌詞に注目して今後が楽しみな新人アーティストとしてこれからメディアだけでは無く様々な分野から片平を見る事が出来るだろう。そう断言してもいい。

それにしても…自分の出番前からステージでセッティングをして準備をしているアーティストの姿をメジャーで初めて見た気がする。
ジャケットを羽織り、Tシャツにジーンズというラフな格好の伊藤祥平がそこには居た。
セッティングをしていたかと思えば、いきなり「皆さん今晩は!伊藤祥平です!初自主企画”PRESS ON! vol.1″楽しんでいただけているでしょうか?」とMCから入る伊藤に沢山の拍手が送られる。胸の内と今回の企画の主旨を丁寧に話し”Music on my mind”のアップテンポながらにブルーステイストが交じり合う気持ちの良さを初っ端から飛ばしてくる。
デビューシングル”Dream of Life”が始まる。爽やかな中にギターを弾く指までもが軽やかに音を創っていく。

福岡県久留米市から上京し、孤独な日々やこれからの不安を抱えながらも支えになってくれた地元の友達の為に何か支えになりたい…そんな絆をテーマにした”My Friend”が優しいタッチで始まり、どれだけ離れていても変わらないもの ― 忙しい毎日で忘れていたあたたかい何かを思い出させてくれた。
ここでスペシャルゲストとして中嶋康孝が登場。
ブルースを感じさせる即興ギターに「康さ~ん!早く準備して~」と歌を乗せ、会場の手拍子が始まり、中嶋とのスペシャルセッションが”Keep on going”から始まる。息の合ったギターセッションとハモりに時折見せる目と目の合図が2人共輝いている。これこそセッションの良さ!というものを再度見せつけられ、2人の出会いが語られる。

「スガシカオさんのサポートもされているミュージシャン、坂本竜太さんのイベントで出会って、2人が一緒に居たらマニアックなモノマネ合戦が始まるんですよね。2人共Eric Claptonが大好きで今日はそこからこの曲をお送りしたいと思います。まだ曲名は言いませんが…」と伊藤が言った瞬間、中嶋が”Layla”のリフを弾いてしまうというアクシデントもあり、会場からは笑いが生まれる。

そんな中嶋康孝に話を聞いてみた。

―今日は、どうでしたか?

中嶋:楽しかったですね!!

―セッションするのは2回目だそうですが

中嶋:前回、ベーシストの坂本竜太さんのセッションに呼んでいただいて、その時にお互いのステージの中で、3曲位ずつオリジナルとカヴァ―をセッションして…

―何のカヴァーですか?

中嶋:Eric Claptonが多かったですね。

―その時が2人の出会いだったのですか?

中嶋:坂本竜太さんのSPICY KICKIN’というバンドを見に行った時に祥平くんも見に来ていたんです。竜太さん的に俺と祥平くんが同じタイプのシンガーソングライターだと思っていたらしくて絶対会わせたい!と思っていてくれて、祥平くんの音源を聴いて凄い会いたかった。それで会わせてもらって色々話をして「一緒にライブやりたい」ってなって。

―実際やってみてどうですか?

中嶋:あまり居ないタイプのシンガーソングライターですね。

―どんなタイプ?

中嶋:ギターでしっかりと演奏をしながら歌って…なかなかそういう人が居ないから、やっぱり楽しい!というのが凄くあって、そういう演奏をお客さんに見てもらってノってくれているのを見たら嬉しくて。お互い広めていきたいですね。高校生の時に地元でバンドを組んでいたんですけど、他に僕のギターを気に入ってくれた上手いおじさん連中とバンドを組ませてもらったというエピソードがあるんですけど、祥平くんも同じだったみたいです(笑)

―伊藤さんに一言いただけますか?

中嶋:これからもその音楽をどんどん研ぎ澄ましていって更にカッコイイステージを期待しています!一緒にいい音楽を創っていきましょう!

音楽の海外留学を経て、現地で培った生の音楽を奏でる中嶋康孝のワンマンライブが7月20日、下北沢440にて行われるのでそちらもチェックしていただきたい。

再びライヴレポに戻ろう。
久留米のふるさと大使となった伊藤が故郷の話に触れ
「『久留米の”立花うどん”が大好きなんですよ』って話をしたら今日の朝、立花うどんさんから大量にうどんを送っていただいたんですけど…冷凍庫に入りきれなくてスタッフさんと皆で美味しくいただきました」と地元である久留米をアピール。

※立花うどんとは…
釜揚げ、麺、ダシにこだわり、旨い!早い!安い!の満足3拍子が揃った今年30周年を迎えたうどん屋さんとして有名。通信販売も好評販売中。

いつの間にか里心がつき、色んな人に恩返しをしたい…故郷に恩返しがしたいと思い作った”My Sweet Home”が始まりギターだけでは無く、歌い方までもどこか優しい。とにかく優しい。しかし段々と力強くなっていく。故郷の人に届けという気持ちがひしひしと伝わってくる。
「ここからが始まり」そう語る伊藤の目はこれでもかという位にキラキラしている。そして、2ndシングル”ヒビキワタレ”が7月4日に発売される事が発表された!
「我儘に自由に生きて目標を追っていいんじゃないかという魂の叫びを込めた曲」と本人が語る注目の次回作は6月13日に着うたが先行配信され、アートワーク等の詳細は随時オフィシャルサイトで発表するとの事。こちらも是非チェックしていただきたい。
ステージの最後には、伊藤自身が17歳の時に作った思い入れのある曲”夢に描いた放物線”を披露。
[走る僕を止めないで]この歌詞に込められた想いを聞きたくてインタビューを試みた。「ありがとうございました!」深々とお辞儀をしてステージを去った伊藤。最後、ギターの弦が切れてしまったが、途切れない拍手は鳴り止まることを知らなかった。

ライブを終えて伊藤祥平に話を聞いた。

―お疲れ様でした!今日のライブどうでしたか?

伊藤:今回のイベントどうだったかな?って逆に聞いてみたいです。僕はなんとか一段落したんですけど。

―先程、ファンの方々にお話を聞かせていただいたんですけど、やはり「楽しかった!最高でした!」という意見が多かったですね。「距離も近いし、ギターもダイナミックで良かった」なんて意見もありました。

伊藤:そうですか!嬉しいなぁ。普段の自分では出来ない”自主企画”だからこそ自分がフロントマンとして自覚が出たライブだったと思います。お客さんの大切さだったり、イベント全体を通して”少しでも良くしたい”という気持ちでとても勉強にもなったライブでした。

―これからの目標はありますか?

伊藤:地元から出てきて、まだ東京で地固めが出来ていない気がするんです。メジャーに行ったと言っても一匹狼になりがちなんですよね。やっぱり上を目指したいから自らが動いてお客さんを喜ばしていきたいですね。

―音楽を始めたきっかけは何ですか?

伊藤:通っていた塾の先生がEric Claptonの大ファンで楽譜とかもらって『こんな音楽あったんだ!』って初めて知って、逆にクラプトンはどんな音楽を聴いていたんだろう?って気になってクラプトンのルーツを辿っていったら、黒人のブルースだとかJAZZだったりR&Bだったり色々聴きましたね。聴く音楽が古いからよく「祥平くんは30年前に生まれてきた子だね」って言われます。(笑)

―東京に出てきてどうですか?

伊藤:寂しいですね(笑)自分田舎育ちなので、山あり川ありは勿論ですが、音楽が根強いんですよね。地元の久留米でブルースフェスティバルというイベントがあって、高校2年の時に初めて出たんですよ。一気におじさん層にモテて「おい!祥平!好きなもの買ってやるから持って来い!」って可愛がられてましたね。

―高校2年生で1人でそのフェスに出たんですか?

伊藤:1人でした。たまたま知り合いの方が「出してあげるよ」と言ってくれて。

―音楽で活動し始めたのはいつ頃からですか?

伊藤:高校入ってからですね。地元久留米を中心にしてカフェやバーで演奏してました。良くしてくれるおじさんやおばさんが居て。やってる音楽が渋かったから(笑)

―クラプトンのカヴァーとかですか?

伊藤:そうですね。Ray Charlesとかもやっていたし、JAZZとか、サマータイムとかも歌っていましたね。

―珍しいですね。その当時、流行っていた音楽には興味無かったですか?

伊藤:興味がなかった訳では無いんですが、聞いていたのは60年代~90年代の音楽ばかりでしたね。90年代といってもBrian McKnightとかBoyz II Menとかですね。Babyfaceが大好きで。19歳の時に見に行ったんですよ。学生の時の16000円…キツかったです。

―ちなみに今日演奏した中で1番思い入れのある曲って何ですか?

伊藤:今日、最後にやった”夢に描いた放物線”ですかね。この曲は17歳で作って、自分でオリジナルを作り始めてから2~3曲目だったんですけど、この曲が今となっては自分の代表曲になってきていて、17歳から一緒に育ってきている感じなんですよね。この曲のアーチだったりヴィジョンだったりを自分がどこまで連れて行けるのか楽しみな曲でもあります。

―これからも常に変化していく曲って事ですね。

伊藤:昔の音源聴くと、全然変わっているんですよ。常に変化している感じですね。

―今日、クラプトンの曲をカヴァーされていましたが、”Layla”を選んだ理由ってありますか?

伊藤:さっき言ったみたいに、まず僕自身本当にEricClaptonが大好きなんです。で、皆、2人並んでクラプトンやりますって言ったら、分かりやすい”Change the World”だと思うじゃないですか。もう少し違う曲をやりたいなと思っていて、この間、ジャズバンドがPerfumeをやっていてビックリした事があって、そういう驚きってカッコイイなって思って。ユーモアがある方がいいし。しかも素晴らしいギターの中嶋さんが来てくれたので思い切ってやろうかなって思って。

―伊藤さんから見た中嶋さんはどういう人ですか?

伊藤:坂本竜太さんのイベントで意気投合して、音楽だけでなく、言葉のやり取りでも共感する部分や通じるものが沢山あって『あ…この人と一緒にやりたい!』と思い、今回自主企画なのでいつもひとりでやっているから「一緒にやりたい!」って康さんに言ったら快くOKしてくれて。嬉しかったです。

―東京でも良い出会いがあったんですね。先程、地元の友達が心の支えだったと”My Friend”の時におっしゃっていましたが

伊藤:僕は東京に強がって飛び出して来たんですよ。最初はひとりでやれると思っていたんですよね。でも全然出来ないな…って思って。売れるまで実家に帰らないと言っていたから。

―離れてみて初めて気付くものってありますよね。

伊藤:そうそう。やっぱり行動に移したくなって。故郷とかそういうものがあるから歩けるじゃないですか。そこに原点があるから。

―原点って大事ですよね。最後にファンの方々に一言いただけますか?

伊藤:若い世代の僕らから音楽を盛り上げていきたいなと思っています!色々な音楽を皆に知ってもらいたいし、生で楽器を演奏するライブって本当に素敵なんですよ!良い音楽はまだまだ沢山あるという事を知ってもらいたいし、僕等はそれを追求して皆さんに聞いてもらって音楽の素晴らしさを伝えたいと思っています。ついに始まった「PRESS ON!」6月のVol.2も楽しみにしていてください!そして、是非会場で生の音楽に触れてみてください!きっと何か感じてもらえると思います!!これからも、PRESS ON!精神でいきたいと思います!

伊藤祥平にとっての前進となる第1歩がこうして始まった。
まだ始まったばかりなのだ。

[TEXT by オオタニヒトミ]
[PHOTO by Yuji Honda]



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